フィリピンでカトリック最大級「ブラックナザレ祭り」開催!
フィリピンの首都マニラで1月9日、「ブラックナザレ祭り」が、開催されました。
毎年1月に行われるこのお祭りは、カトリック最大級と言われており、今年は230万人以上が参加したということです。
■ブラックナザレ祭りとは
「ブラックナザレ」とは、黒いキリスト像のこと。
1600年代にメキシコから運ばれてきたもので、輸送の際に船上で火事が起きて、黒く焦げてしまったことから、この名が付いたと言われています。
あるいは、肌の色が濃かったメキシコ人やフィリピン人に合わせて黒くなったのでは、という逸話も残っており、とにかく人々の間では奇跡の像として崇められているのです。
普段は「キアポ教会」という教会に祀られているブラックナザレ像ですが、お祭りでは像を神輿のように台車に乗せて、20時間もの間マニラの街を練り歩きます。
キアポ教会からリサール公園、イントラムロスまで移動し、最後にまたキアポ教会に戻ってくるコースで、その距離はざっと6キロ。
毎年国内だけでなく海外からも観光客が見に集まります。
■ブラックナザレの奇跡の力
国民の8割以上がキリスト教であるフィリピンでは、大変重要なイベントの1つとなっているブラックナザレ祭り。
200万人を超える人々がこれだけ熱狂する背景には、ブラックナザレに宿っているとされる奇跡のパワーがあります。
ブラックナザレに触れるとその奇跡の力を貰うことができるとされており、病気が治ったり問題が解決したりすると言われているため、祭りではほんのちょっとでも良いので像に触ろうと必死な人々が集まるのです。
中には像に向かってハンカチを投げて、触れられずともパワーを授かろうとする人も。
また、なぜだか裸足で練り歩く人々も大勢います。
パワーを受け取りやすいのでしょうか・・?
■死者・負傷者も出る熱気
ブラックナザレに触れようと集まる人々は圧倒的な数で、残念ながら毎年死傷者が出ています。
去年のブラックナザレ祭りでは、1人が死亡、800人以上が負傷しました。
山車に登ろうと人だかりの中へ入っていった人が、心臓発作で亡くなってしまったそうです。
2017年には4名の死者が出ています。
また、山車から落下して大怪我をする人や、失神する人もいます。
病気を治したくて参加するのに、逆に命を落としたり怪我をしたりするというのは何とも皮肉な話ですが・・
それほどまでに、フィリピン人の信仰心というのは強く、身を挺してまで奇跡のパワーを得ようとするのですね。
■観光でも見れるの?
日本にはこれほどまでに人々が熱狂する宗教イベントはないため、一度本物を見てみたいと思う人もいるでしょう。
ブラックナザレ祭りには誰でも参加できるので、日程を合わせれば観光でパレードを見ることも可能です。
しかし、とにかく人だかりがすごく、しかもみんな興奮しているため、揉みくちゃにされることは間違いありません。
それこそ押しつぶされて身の危険を感じることもあるでしょうし、ましてやブラックナザレに触れるというのは相当難しい話です。
話のタネに一度見に行ってみても良いと思いますが、当日のマニラ市内は混乱を極めているので、もしどうしても行きたいという方は、覚悟して臨んでください。
また、人混みの中ではスリなどの犯罪も起きやすくなりますので、身の回りの携行品にも気をつけないといけません。
出来るだけ荷物は少なく、持つ現金も最小限にとどめておきましょう。
■「ブラックナザレ祭り」に関する注意喚起
日本の外務省からは、テロ事件を懸念してブラックナザレ祭りに関する注意喚起が出されています。
何百万人もの不特定多数の人々が集まるスポットとあって、テロの標的にもなりやすいと警戒レベルが高くなっているのです。
必要がない場合は出来るだけこの時期にお祭り周辺のスポットへ行くことは避け、どうしても行く場合は危機管理意識を強く持って慎重に行動するようにと呼びかけています。
また、渡航前に家族や友人にフィリピンでの連絡先や滞在先を知らせておくように、とのことです。
■見に行く際は身の回りに気をつけて!
今やどこへ行っても多少の危険は付きものですので、あまり心配しすぎるのもどうかとは思いますが、とにかく人混みは本当にすごいのは間違いありません。
見学に行く際はあまりブラックナザレに近づきすぎず、少し離れた場所から見るのがちょうど良いかもしれませんね。
怪我の危険もありますし、酔って具合が悪くなる人もいるので気をつけてください。
くれぐれも身の回りに注意して、フィリピンの一大宗教イベントを楽しみたいものです。