フィリピンの医師9人がコロナウイルスで死亡
フィリピンでは人口約5,500万人が居住するルソン島全域を閉鎖し、すべての国からの入国を禁止するなど、大規模なコロナウイルス対策を行なっています。
しかし、ロックダウンが始まって2週目に突入している中、国内での感染者が増える一方となっており、事態は深刻化しています。
フィリピン医師会の26日の発表によれば、新型コロナウイルスにより国内の医師9人が亡くなったそう。
■不十分な医療従事者の保護
フィリピンの医療機関では、医療従事者の保護が不十分であることが問題視されています。
毎日感染患者と接するにも関わらず、彼らの検査は徹底されていません。
また、仮に検査をしたとしても、一度では足りません。
いつ新たに感染するか分からない状況なので、定期的に検査する必要があるのです。
しかし、フィリピン国内にはそこまで検査キットの数に余裕もなく、医療従事者の健康については後回しになってしまっています。
さらに、医師や看護師が感染していた場合は、彼ら自身がコロナウイルスを広める原因になることもあり得ます。
■病院が飽和状態
フィリピンでは医療従事者だけでなく、医療機関も足りていません。
増え続ける患者に耐えられる病院数がなく、首都マニラの3つの病院は25日に収容能力の限界に達したそう。
これらの病院では新規の患者は受け入れられない上、職人数百人がコロナウイルスに晒された可能性があるとのこと。
彼らは14日間の自主隔離を行なっている状態で、病院へ出勤することができません。
このまま患者が増え続ければ、国内の病院すべてが飽和状態となってしまうでしょう。
■低すぎる検査率
さらに、フィリピンでは新型コロナウイルスの検査件数が少なすぎることも指摘されています。
検査率は世界的に見て最低水準となっており、これまでに検査を受けたのは2,000人以下。
人口10万人に1人しか受けていないことになります。
重い症状のある人や持病のある人、高齢者、妊婦などが優先的に検査されていますが、医療従事者など最前線で闘う人々は軽視されてしまっているようです。
■医療危機の懸念
フィリピンではもともと医師の数や医療機関が不足していますが、ここにきて9名もの医師が亡くなったことは、フィリピンにとって深刻な医療危機になってしまうのではないかと懸念されています。
ドゥテルテ大統領は最初から自国の医療体制が十分でないことを知っていたため早期にロックダウンに踏み切り感染者数を抑えたと言われていますが、それでもやはり抑止できる限界に達してきているのかもしれません。
もはや感染経路も不明で、あちらこちらで感染が発覚している今だからこそ、医療従事者の健康は大前提となるのではないでしょうか。
検査率に関しては日本もかなり低いため、病院職員の検査は徹底されているのか気になるところです。