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住商がフィリピンバナナ「スミフル」の全株を売却


日本では今やどこのスーパーでも当たり前に売られているバナナ。

そのほとんどが、フィリピン産であることをご存知でしょうか?

もともとバナナは、1960年頃までは高級品でした。

その頃市場に出回っていたのは台湾産でしたが、庶民の手に届くような価格ではなかったと言います。

 

しかし、1970年頃に日本でのバナナの消費量は爆発的に増えました。

輸入が自由化されたためです。

人々がこぞってバナナを買い求めたため、同時期に日本市場向けにバナナ農園が次々に作られるようになりました。

その生産地となったのがフィリピンです。

 

住友商事も、日本へバナナを供給する会社として主力になっていました。

1970年には「住商フルーツ」を立ち上げ、2003年にはソーントン・ベンチャーという会社と提携して「スミフル・シンガポール」を設立します。

その子会社の「スミフル・フィリピン」は、主にミンダナオ島でバナナを生産してきました。

広大な農園の面積は、1万ヘクタールを超えます。

バナナの国内販売量ではトップクラスとなったスミフルグループは、「完熟王」という名前のブランドで甘みの強いバナナを生産し、国内シェアの3割を占めることに。

同じくバナナ農園として有名な「ドール」(伊藤忠商事の子会社)と競い合う形で、成長してきていました。

 

しかし今回、その「スミフル」が、保有している全株式(49%)を売却すると発表し、話題となっています。

 

<労組の訴訟>

スミフルが株を手放すと発表したのと同じ6月18日、実はフィリピンのスミフル系農園の労働者たちが訴訟を起こし、東京都内で記者会見を行なっていました。

労働組合の名前は「ナマスファ」。

ナマスファはスミフルに対し労働環境の改善や従業員の正社員化を求めていました。

しかし、スミフル側は「労組側と雇用関係があるのは業務委託会社であり、スミフルではない」と主張。

対立は2017年まで続いていましたが、最高裁判所はスミフル・フィリピンと労働者の間に雇用関係があることを認定し、労組側の言い分が通ります。

しかし、スミフル側は労組の要求をなおも拒否し、2018年10月にはストライキが勃発する事態に発展しました。

軍や警察も介入し、負傷者も出る大惨事になったのです。

 

<労組員が殺される>

労組がストライキを始めた2018年10月、組合員の一人が射殺される事件が発生しました。

また、組合の委員長であるポール氏も自宅を銃撃されたほか、放火までされたと言います。

これが、スミフルとのいざこざと関係しているのかは、明らかになっていません。

ミンダナオ島はもともと、イスラム過激派組織がテロを起こすなど治安は非常に悪いエリアの1つです。

組合員を襲った実行犯は捕まっていないため、はっきりしたことは言えないのが現状ですが、ポール委員長は「ストライキの後に事件が起きている。労組の活動を妨害する意図があるのではないか」と主張しました。

スミフル側に対しても、事件解決に協力するよう求めていました。

 

<仲裁会議に欠席するスミフル>

そんな中、突然発表されたスミフル株の売却。

一部のメディアからは「労組の要求から逃れるためではないか」と疑問を投げかけられましたが、住商は「株の売却と労組のとの問題は関係ない」と主張しています。

また、フィリピンの労働雇用省がスミフルとナマスファの話し合いを呼びかけた際も、スミフルはその会議を欠席。

さらに、ナマスファを支援するNPO団体「アジア太平洋資料センター」によれば、スミフルは自分たちが代替日として提示した会議さえも欠席していると言います。

もしも自分たちに非がないというのなら、会議に出てはっきりと主張すれば良いところを、まるで逃げるように欠席を繰り返しており、人々から不信感を買っているのです。

住商によれば、従業員に正社員化のオファーを出したことがあるが、誰も承諾しなかったとのこと。

しかし、実際にはこのオファーが本当にあったのか確認されておらず、真偽は明らかになっていません。

 

<”人権を尊重する”?スミフルの行動指針>

住商は自社の「行動指針」で、「人権を尊重し、人権侵害に加担しない」「労使間の円滑な協議を図るため、従業員の団結権を主張する」「情報を適時適切に開示する」といった内容を発表しています。

しかしながら、今回のスミフルの件に関しては、どれも守られていないように感じられます。

今後住商はスミフルの全株式を、ソーントン(合弁相手)へ売却する予定ですが、住商としてはこれからもスミフル・バナナを取り扱っていく方針のようです。

ただ、今回の人権問題に関与していく姿勢は見せていません。

 

<日本人ができることとは?>

このような、フィリピンのバナナ農園に関する人権侵害問題は、スミフル以外にも複数起きています。

長時間労働や法定最低以下の賃金、児童労働、農薬による身体的な被害など、問題は山積みです。

経営する企業が、現地の労働者に耳を傾けることはほぼありません。

スミフルと同様に日本でよく見かける「ドール」も、労働組合とは対立しており、テロ組織を雇って労組員を脅迫したり暗殺したりしている、とも言われています。

普段私たちがスーパーでバナナを購入する際、まさかバナナ農園でそんな惨事が起こっているとは想像もできないでしょう。

しかし、これがバナナ農園の実情なのです。

広がり続けているフィリピンの貧富の差を解消し、少しでもフィリピンの発展を願うなら、私たち日本人も、フィリピン産の果物の裏側にあるストーリーについて考えてみる必要があるかもしれません。