なぜフィリピンは女性の社会進出が進んでいるのか?
フィリピンでは男性よりも女性の方がバリバリ働いているってご存知でしょうか?
日本は男女平等を謳いつつも、まだまだ男性優位の社会だと思います。
しかし、フィリピンでは企業の管理職に就いているのは半分くらいが女性で、レストランでもショッピングモールでも銀行でもコールセンターでも語学学校でも、とにかく女性の従業員が多い。
なぜフィリピンではこのように女性の社会進出が進んでいるのでしょうか?
<産休・育休がない?>
日本でもそうですが、女性が男性と同等に働けなくなる理由として、妊娠・出産・育児があります。
産休という制度はありつつも、実際には職場復帰時に以前と同じ待遇が得られなかったり、育児を奥さんに任せっきりの旦那さんも多いです。
では、フィリピンではどうなっているのでしょうか?
女性が働きやすい社会なのであれば、産休や育休も相当充実していると考えられます。
しかし、実はフィリピンでは、そもそも産休や育休をとっている女性がほとんどいません。
産休はあっても、最大で60日という短さで、ほとんどの女性は産んだら1ヶ月後には職場に復帰しています。
日本の産休は、「産前6週間、産後8週間」が最低ラインで決まっており、産後6週間は働くことを許されてすらいません。
フィリピンと比べると、手厚く保護されていることがわかります。
また、育休中も給付金制度で雇用保険から日給の67%がもらえます。
対するフィリピンはというと・・・そんな制度もありません。
早く働かなければ収入のない状態が続いてしまうのです。
さらに、育児を理由に休んで解雇されても、文句を言うこともできません。
このような事情から、ほとんどのフィリピン人女性は、子供を産んでも1ヶ月後には職場復帰するのが当たり前になっています。
心も体もたくましい、としか言えません・・。
<女性の方が高学歴>
フィリピンは、学歴社会です。
いわゆるホワイトカラーの職に就くには大学を出ていることが必須条件ですし、名門の学校を出ているほど収入は上がる傾向にあります。
そんな中、フィリピンでは男性よりも女性の方が就学率が高いというデータがあります。
語学学校の講師を見ても女性が多いのは、ほとんどの学校が大卒以上を条件に採用しているからです。
では、なぜ女性の方が高学歴なのか?
明確な答えはわかりませんが、家族を大事にしたい気持ちが男性よりも強いからだと言う人もいます。
「家族に良い生活をさせてあげるために、私がしっかり勉強して収入の高い職に就かなきゃ」
こういったモチベーションは、フィリピンでは男性よりも女性のほうが高いようです。
海外出稼ぎ労働に出ているフィリピン人も、女性の方が多くなっています。
<男性が働かない>
フィリピンで女性が社会進出している理由の1つとして、男性が働かない、というのもあります。
仕事がないフィリピンでは、なかなか安定した収入のある職が見つかりません。
学歴のない貧困層の男性ならなおさらです。
一方で、女性向けの仕事は、家事手伝い、ベビーシッターなどそれほど学歴を必要とせずに出来る仕事が男性よりも多くなっています。
<家庭での立場も強くなる>
女性が外に出て働き実際にお金を持ってくるようになると、やはり家庭内での立場も女性の方が強くなってきます。
働けない男性は、育児に勤しむか、何もできずただ待っているだけというのもフィリピンでは珍しくありません。
結果的に妻が家庭を牛耳ることになり、ますますフィリピン社会で女性が優勢になっていくのです。
<男女格差だけでなく貧富の差の解消を!>
フィリピン人女性の社会進出が進んでいる裏側には、社会制度の違い、家族への思いなどがあります。
一見すると先進的な社会構造にも見えますが、実際にはフィリピン人女性たちはそれしか道がないからそうしている、といった方が正しいかもしれません。
キリスト教の影響で、子供ができたら絶対に産まなければならないにも関わらず、産休も育休もまともに取れないというのは、日本人から見れば過酷です。
「男女格差の少ない国」としてはアジアで1位というフィリピンですが、果たしてそれが今後の国の繁栄に繋がっていくのかは、現在の混沌としたフィリピンを見ている限りでは分かりません。
やはり雇用が創出され、男性も真っ当に働けるような社会になることが、より発展に繋がるのではないかと思います。
また、男女関係なく教育の機会が与えられるよう、貧富の差を解消していくというのが、根本的な解決になるのかもしれません。