フィリピン・ルソン島のロックダウンが5月15日まで延長
新型コロナウイルス対策で3月15日から「強化されたコミュニティ隔離措置(Enhanced Community Quarantine)」が実施されているフィリピンのルソン島。
この事実上のロックダウンは、一旦期限が伸びて4月30日までとされていましたが、さらに延長され、5月15日までになったそうです。
フィリピン政府が24日に発表しました。
首都マニラを含むルソン島全域には、約5,700万人の人口がおり、フィリピンの中でもずば抜けて感染者が多くなっています。
また、ルソン島とともにロックダウンしてきたセブ州、そして第三の都市であるミンダナオ島ダバオ市も、同様に隔離措置を延長します。
■増え続ける感染者
フィリピン国内における新型コロナウイルスの感染者は、4月23日時点で6,981人、死者は462人となっています。
増加ペースは若干鈍化する日もあるものの、感染者は依然として増え続けており、都市における医療崩壊も目前という危機的な状況です。
なお、フィリピン第二の都市であるセブシティの感染者は312人となっており、市内の刑務所での集団感染が、人数を大幅に引き上げてしまったということです。
医療体制が脆弱なことや、医師が足りないことも大きな要因です。
国内では公共施設を隔離病棟へ転用する用意も進められています。
■経済へのダメージ
ロックダウンが長引くほど経済へのダメージは大きくなっていきます。
日系企業の多くも、フィリピンにある工場の稼働を停止しています。
フィリピン開発研究所の試算によれば、新型コロナウイルスの感染拡大による経済損失は2兆4,829億ペソ(約5兆2,141億円)にも上るといいます。
これは、フィリピンのGDPの12.9%に当たる数字です。
最もダメージが大きいのは製造業で最大8,552億ペソ、次いで小売業が7,248億ペソ、金融業が1,413億ペソなどとなっています。
逆にもっともダメージが少ないのは建設業で、193億ペソと試算されています。
一方で、もしも今年6月末までに新型コロナウイルスが効果的に抑制された場合、経済損失は2,763億ペソに抑えられるとのこと。
しかし、現在のコロナの勢いを見れば、6月末に終息する様子はなさそうです・・。
■ドゥテルテ大統領からのメッセージ
ドゥテルテ大統領は市民に対し、厳しい移動・外出制限を敷いています。
外出できるのは1家庭につき1人だけで、許可されているのは生活必需品の買い出しのみです。
ほとんどの市民は外に出られずストレスが溜まっていることでしょう。
演説では「我々はみな感染リスクにさらされており、戦いは続いている」と語り、制限についてもう少し我慢してほしい旨を訴えました。
同時に、「違反して警察に反抗すれば射殺する」という声明も出しており、実際に撃たれて死んだ人もすでに2人います。
麻薬戦争時と同様、強硬的な姿勢は健在です。
生活に困窮した人々が犯罪に走り始めるなど治安の悪化も懸念されていますが、市民が今できることは、自宅待機を守り、おとなしく事態の収束を待つことだけです。
幸いドゥテルテ大統領は支持率が高く、不自由な生活を強いられながらもほとんどの市民は彼を信頼して素直に従っています。
少しずつですが、バランガイへの食料配給も行われているようです。
今後いつどのような形で新型コロナウイルスが終息していくのか?はたまた終息自体が難しいのか?誰も分からない状況となってしまいましたが、毎日出来ることをやって過ごすしかありません。