日本のレーダーが初めてフィリピンへ輸出される
日本政府関係者の発表によれば、国産のレーダーが初めてフィリピンへ輸出されるとのこと。
「防衛装備移転三原則」に基づき、総額およそ100億円で契約される予定だとしています。
輸出されるレーダーはいずれも三菱電機製の2種類で、航空機などの動きを監視するそう。
■「防衛装備移転三原則」とは?
「防衛装備移転三原則」とは、2014年に国家安全保障戦略に基づいて定められた武器輸出規制および運用面の原則。
もともとは「武器輸出三原則」というのがあり、基本的に武器(兵器)の輸出や国際共同開発が認められておらず、必要があればそのたびに例外規定を設けて運用する、という内容でした。
これに対し「防衛装備移転三原則」は、武器の輸出入を基本的に認め、その上で禁止する場合の内容や厳格な審査を規定する内容となっています。
簡単にいえば、平和貢献や日本の安全保障に関わる場合のみ、武器の輸出を認めるということ。
ただ、これまではミサイルの部品などのみが輸出されていました。
今回のレーダーは、初めて完成品の防衛装備品の輸出となります。
■輸出されるレーダーは全部で4基
輸出されるレーダーは、航空自衛隊でも使用している固定式の警戒管制レーダー「FPS3」3基と、陸上自衛隊でも使用している移動可能な小型レーダー「TPSP14」の1基の、合わせて4基だそうです。
いずれも改良型で、ミサイルや航空機の探知、追尾に使用されます。
■中国への警戒を後押し
今回国産のレーダーがフィリピンへ輸出される目的としては、南シナ海での軍備増強を進める中国に対して、警戒・監視を後押しするためと言われています。
日本とフィリピンの間には防衛協力を深めている背景もあり、フィリピン軍の警戒監視能力を向上させることは、防衛装備移転三原則に沿うと判断したようです。
■正式な契約はコロナ騒動の後?
輸出契約の完了に関しては5月までを予定していたそうですが、新型コロナウイルスの騒動でフィリピン政府が業務を縮小しているため、交渉が停滞しています。
日本政府は正式な契約に向けて調整を進めるそうですが、正式な受注にはもう少し時間がかかる見通しです。