マニラ首都圏・ルソン島閉鎖に伴う治安悪化
フィリピンでは新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、ドゥテルテ大統領によって学校が閉鎖されただけでなく、マニラ首都圏・ルソン島全域で移動制限の措置が取られています。
しかしながら感染の勢いは依然として止まらず、患者は140人、死者は11人となりました。
国内では市民が食料品や生活用品を求めてスーパーや薬局に詰めかけるなど混乱が生じているほか、幹線道路では検温を行ったり通行許可証の提示を求められたりするため、渋滞も悪化している状況です。
■失業した労働者たち
検問所には兵士も配置され、警察に協力しているとのことですが、一方ではマニラ封鎖に乗じた犯罪やテロを警戒しているためだという見方も出ています。
マニラ首都圏では今、閉鎖が原因で仕事を失っている人たちが大勢います。
日雇いの労働者やエンターテイメント業種に従事していた人たちもそうで、彼らは会社に勤めていないため、仕事ができなければ収入はゼロです。
政府もこういった労働者への社会保障について明らかにしておらず、今後彼らの生活が困窮して不満が募れば、犯罪を招きかねません。
マスコミ関係者によれば、閉鎖が始まった15日から大体2週間くらいで、治安が悪化し犯罪が増えることが懸念されるそうです。
■テロの可能性も?
さらに、社会情勢が不安定な今は、イスラム系過激派組織などによるテロ集団にとっては非常に好都合な状況です。
現在は教会などの宗教施設も閉鎖されていますが、爆弾テロを含む攻撃が起こりかねないといいます。
そのため、検問所に兵士が配置されているだけでなく、政府関連施設や宗教施設でも警戒を強めているとのこと。
フィリピンのミンダナオ島では2017年5月にイスラム過激派によるテロ攻撃があり、国軍と激しい紛争が行われました。
一旦はテロ組織は討伐され闘争は収束していますが、テロ組織は今もなくなったわけでなく、新しいメンバーを加えながら攻撃のチャンスをうかがっています。
現在もミンダナオ島やスールー諸島などを拠点とする組織が、政府軍や警察部隊と衝突しているのです。
■治安の悪化は避けられない?
いつどこで自分が感染するかも分からない、食料がなくなるかもしれない、収入がなくこれからどうやって生きていけば良いか分からない・・・そんな混乱を極めた現在のフィリピンでは、治安の悪化は避けられないかもしれません。
ドゥテルテ大統領率いるフィリピン政府は、少しでも感染を防ごうと次々と対策を講じてはいますが、国民一人一人の生活がどうなっているかまでは把握する余裕がないようです。
帰国したくても航空便が突然運航停止になるなど、不安な日々を送っている日本人の方々もいるでしょう。
また、日本にいても感染リスクがあることには変わりません。
外務省からは18日、全世界に「感染症危険情報レベル1」が発出されました。
海外への渡航は取りやめるか、もしくは延期することが推奨されています。
とにかく今は出来るだけ外出は避け、最低限の食料は確保し、手洗いなどの感染予防を徹底しながら日々を過ごすしかなさそうです。