フィリピンの「訪問米軍に関する地位協定」破棄は中国に有利?
フィリピンが先日「訪問米軍に関する地位協定」の破棄を決めたことが、大きな議論を呼んでいます。
協定が破棄されればフィリピンで行われていた米軍による演習やサポートがなくなり、フィリピンにとって大きな影響があるのでは?と言われていますが、実は最も喜んでいるのは中国・・かもしれません。
アメリカのトランプ大統領は「節約になるし、特に問題ない」と発言していますが、アメリカ国防総省の高官は、「協定を破棄すればアメリカの影響力が落ち、中国にとって有利になる」と指摘しています。
また、アメリカ国防総省の中国担当スブラジア次官補代理も、「アメリカとフィリピンの軍事的な関係がすぐに壊れるわけではないが、中国はアメリカを追い出そうとしている。これはアメリカと中国の競争だ。」と述べました。
つまり、アメリカがいなくなれば、中国はフィリピンを侵略しやすくなる、というような意味でもありますね。
南シナ海問題ではアメリカのサポートもあって何とか中国の動きを抑えてきているフィリピンですが、協定がなくなれば中国はもっと自由に動けるようになるかもしれません。
さらにスブラジア氏は、「中国は各国からアメリカを引き離そうとしている」とコメントし、警鐘を鳴らしました。
今のところドゥテルテ大統領は破棄決定を撤回するつもりはなさそうですが、アメリカはどうにか説得しようと必死になっているようにも見えます。
フィリピン国民としても、中国の勢力が拡大し、それが自国に及んでくることは誰も望んでいないでしょう。
協定破棄が有効になるまでにはまだ半年近くありますが、この間にドゥテルテ大統領がどう動くかは、世界中が注視しています。