フィリピンの海底で炭酸ガスが湧き出る場所発見
豊かな自然と美しい海を持つフィリピン。
まだ人が踏み入れたことのない領域も多々ありますが、今回アメリカのテキサス大学オースティン校のダイバーチームが、フィリピン沖の海底に大量の炭酸ガスが湧出している場所を発見したと発表しました。
■豊かな生態系を持つ「ベルデ島水路」
炭酸ガスの湧出が見つかったのは、ルソン島とミンドロ島の間にある「ベルデ島水路」。
フィリピン内航の重要な航路の1つであり、水路内にはベルデ島とマリカバン島が浮かんでいます。
世界でも最も生態系が豊かと言われている場所だそうで、サンゴ礁が広く繁栄しているほか、多種多様な海洋生物が棲んでいるとのこと。
炭酸ガスは、海面下60メートルの場所で発見されました。
また、最近出始めたものではなく、数千年前から続いていると予測されています。
■高濃度の二酸化炭素の泡
近くに火山があったため、高濃度の二酸化炭素ガスが湧出していたそうですが、その湧出量もこれまで自然界で発見された中で最も多く、60,000〜95,000ppm。
その濃度はなんと大気中の200倍にもなるそう。
海の中に湧出されるとその濃度は希釈されて薄くなっていきますが、それでも他の海中よりはずっと濃いそうで、そんな環境でなぜサンゴ礁などさまざまな生物が繁殖しているのかは謎だと言われています。
海の中の生物も私たち人間と同じように酸素が必要なことがわかっており、本来であればここまで高い濃度の二酸化炭素があると、酸欠を起こすなどして生きられなくなるのです。
同大学のバヤニ・カルデナ教授によれば、「ベルデ島水路のサンゴ礁や海洋生物は、環境適応能力が一般的な常識とは異なる形で進化している可能性がある」とのこと。
■未知の領域が多い海の中
海の中には、宇宙よりも未知なことが多いとも言われています。
フィリピンのみならず、まだまだ世界中で謎の現象や新しい発見があることでしょう。
また、もしかしたら地球温暖化に対抗するヒントがあるかもしれません。