出稼ぎフィリピン人の日本での家事代行サービス
フィリピンの経済成長を支える大きな柱となっているOFW(Oversea Filipino Workers=海外出稼ぎ労働者)ですが、日本にも多くのフィリピン人が働きに来ています。
中でもメジャーなのは、家政婦事業です。
日本で家事代行サービスを提供する企業は今、積極的にフィリピン人を起用しようとしています。
ニチイ学館もその1つです。
ニチイ学館は、訪問介護や施設介護サービスを提供する会社として知られていますが、今回愛知県で外国人の家事代行サービス参入第1号となりました。
ニチイ学館はこれまでにも東京と神奈川でサービスを提供してきましたが、11月からは大阪、兵庫でも同事業を進めていく予定とのこと。
人材にはフィリピン人を採用し、現在380人ほどが研修を受けているところだそう。
ニチイ学館は18日に神戸市のこの研修の様子を公開しました。
洗濯やアイロンがけなど、日本のやり方で家事の基本を教えています。
現在380人いるフィリピン人従業員は、今後は800人まで増やす予定となっています。
フィリピンでは家政婦を雇うことは一般的です。
人件費が安いため、特別に裕福な家庭でなくてもメイドやナニーがいる家庭は数多くあります。
日本人駐在員でも現地ではメイドを雇っている人は多く、家事をやらない分仕事に集中できたり自分の時間が増えるので、重宝されています。
フィリピン人はホスピタリティが高く、人のお世話をすることが好きな国民性もあり、家政婦に向いているという側面もあります。
まともに学校に行けず学歴はなくても、家事ならば誰でもできますし、日本で働けば給料も数倍高いとあって、出稼ぎ先として日本は人気の国の1つです。
そして日本側にとっても足りない人材を補うことができるため、まさにウィンウィンの関係と言えます。
ちなみに、外国人による家事代行サービスが提供できるのは、日本では内閣府が定めた国家戦略特区と呼ばれるエリアのみです。
地域を限定した大胆な規制緩和や税制面での優遇があります。
アベノミクスの成長戦略の1つとして期待されていますが、雇用や働き方に関する具体的な施策はまだ不透明となっています。
日本で働くフィリピン人はこれからさらに増えていくことが予想されます。
今年の8月には東京都が、フィリピン人が家事代行サービスで在留できる期間を最長3年から5年へ拡大するよう国へ提案しました。
また、都内に拠点を置く家事代行サービス事業社が、埼玉や千葉などでも事業展開できるよう求めています。
現在日本で働く外国人は大勢いますが、みんなビザの期間が短すぎることでなかなか安定した人材確保ができていません。
彼らの在留期間を延長してあげれば、雇用する側にとっても負担が減ることになるでしょう。
今後は、外国人の美容師の就労も可能にするよう要望しています。
日本に多くの移民がやってくることを懸念する人たちもいますが、人口が減少し人材不足が深刻化している今、人件費の安いアジアの人々を受け入れない手はありません。
フィリピンは現在人口1億人を突破し、若い労働人口をたくさん抱えています。
有り余った労働力を日本で使い、母国を活性化していけることは、フィリピンの経済成長をさらに助長させることにもなるでしょう。
両国の良い部分を活かしつつ、全員にとって有益なシステムを構築していきたいですね。