故マルコス元大統領とドゥテルテ大統領


強権的な体制を貫くドゥテルテ大統領の政策が注目される現在のフィリピンですが、この国にはかつてドゥテルテ大統領のパワーを凌ぐほどの影響力を持った人物がいます。

それが、故フェルディナンド・マルコス元大統領です。

1917年から1989年までフィリピンの政権を握ってきた「独裁者」とされるマルコスですが、その妻であったイメルダ・マルコス夫人が今年90歳の誕生日を迎えたとのことで、マニラのスポーツスタジアムでは祝賀会が開かれたとのこと。

およそ2,500人のマルコス一族支持者が集まり、イメルダ夫人の誕生日を祝いました。

 

<故マルコス元大統領が亡くなって30年以上>

「独裁者」として歴史に名を残すマルコスは、その政権が崩壊して30年以上経った今も、人々の記憶からは忘れ去られることがありません。

また、マルコス一族は現在も政界に君臨し続けています。

90歳を迎えたイメルダ夫人は現在も下院議員として活動しているほか、息子のボンボン・マルコスは2016年に副大統領として出馬、長女のアイミー・マルコスも今年の中間選挙で上院議員に当選するなど、確かな存在感を確立しています。

 

<ドゥテルテ大統領にも多大な影響>

マルコスは、現在大統領を務めるロドリゴ・ドゥテルテ氏にも多大な影響を与えた人物でした。

マルコスを「英雄墓地」に埋葬したことも、ドゥテルテの彼への敬意の表れだと言われています。

 

<「英雄墓地」埋葬をめぐるデモ>

マルコスは生前、自分が死んだら「英雄墓地」へ埋葬されることを望んでいました。

しかし、国民の多くがそれを許しませんでした。

英雄墓地とは、フィリピン人にとって、フィリピンを守るために戦士した兵士たちが眠る神聖な場所であり、マルコスのように殺人や拷問を繰り返してきた独裁者が葬られるのはおかしい、という意見が圧倒的に多かったのです。

そのため、ドゥテルテ大統領より以前の歴代大統領たちは、マルコスおよび彼ら一族の訴えを聞こうとはしませんでした。

 

<遺体は冷凍保存されて30年>

マルコスが失脚し、亡命したハワイでその一生を終えたのは1989年9月のこと。

それから実に27年間もの間、行き場をなくした彼の遺体は埋葬されずに、マルコス実家の敷地内にある特別霊廟に冷凍保存されていました。

その間、イメルダ夫人らは何度も大統領に英雄墓地への埋葬を要請しましたが、根強い国民からの反対によって、妨げられてきました。

 

<2016年、英雄墓地へ>

反対運動が勢いを増す中、臆さずにマルコスを英雄墓地へ埋葬したのがドゥテルテ大統領でした。

ドゥテルテ大統領は「人は誰でも間違いを犯す。我々は和解する時ではないか」「憎しみを1つ減らせる」と発言し、国民に理解を求め、埋葬することを発表しました。

そして2016年、ついにマルコスは悲願の英雄墓地で永遠の眠りにつきます。

冷凍保存されていた特別霊廟から丁寧に運び出され、ヘリコプターでマニラへ移動し、国軍兵士の手によって埋葬されたのです。

この瞬間に、マルコスはこれまでに戦士した国軍兵士たちと同様「国家英雄」となりました。

 

<激化する反対運動>

しかし、埋葬が発表されてから埋葬に至るまでには、激しいデモが繰り広げられました。

当初埋葬は9月28日に予定されており、8月14日にはリサール公園の前におよそ5,000人の市民が集まり「国民の恥だ」といった演説が行われました。

また、埋葬が1週間後に迫っていた9月22日には「MARCOS NOT A HERO(マルコスは英雄ではない)」のプレートを掲げた5,000人の市民がケソンからマニラまでを行進し、デモの気勢は最高潮に達しました。

さらに、セブやバギオ、ダバオなどでも反対集会が開かれ、フィリピン全国で反対派が声を上げたのです。

 

<カトリック教会も反対>

フィリピン国内で圧倒的な権力を持つキリスト教会も、マルコスの英雄墓地埋葬には反対でした。

裁判を経て最終的にマルコスが埋葬されることが決まった際、フィリピン・カトリック・ビショップ教会は「エドゥサ革命の精神を屈辱する結果であり、非常に悲しい。民主主義を願う国民の戦いを無にするものだ。」と述べています。

 

<抜き打ちで埋葬された遺体>

激化する反対運動が続き、埋葬を予定していた9月28日はとうに過ぎていました。

しかし11月11日、この混乱を収めるでもなく、埋葬は秘密裏かつ短時間のうちに行われていました。

反対派には日時が知らされず、厳戒態勢の中、抜き打ちで埋葬されたのです。

 

<ドゥテルテ大統領の考えとは?>

圧倒的な反対運動がある中、なぜドゥテルテ大統領はマルコスの英雄墓地埋葬へ踏み切ったのでしょうか?

公には「自分の父親が一時期マルコス内閣の閣僚を務めたので恩義がある」としていますが、実はドゥテルテ大統領の個人的な思いも絡んでいると言われています。

彼はかつて「フィリピン歴代大統領のなかでマルコス氏が一番だ」と公言したことがありました。

ドゥテルテ大統領にとってマルコスは、目標とする理想の大統領でもあるようです。

また、マルコスを英雄墓地に埋葬したことで、マルコス一族からも熱烈に支持されるようになりました。

マルコス一族から支持されれば、マルコスを支持する人々からも支持されます。

そしてドゥテルテ大統領は、ゆくゆくは自分も英雄墓地に埋葬されたいという思いも見え隠れしているようです。

いずれはマルコス一族の誰かによって、彼がマルコスと同じ墓地で眠る日が来るのかもしれません。

 

<マルコスとドゥテルテ大統領は似ている?>

マルコスは一般的には「独裁」を長年敷いてきた悪名高い元大統領として知られています。

しかし、国内には彼に対して肯定的な意見を持っている人も少なくありません。

マルコス時代に国内の治安が回復して犯罪が減り、海外からの投資が増え、経済が著しく成長したという事実もあります。

「マルコス時代は秩序もあり、インフラ整備も進んでいた」と評価する国民もいます。

マルコス時代を「暗黒時代」と呼ぶ人もいれば、「黄金時代」と呼ぶ人もいるのです。

賛否が激しく分かれている点を見ると、やはりドゥテルテ大統領はマルコスと似ています。

独裁とまではいかなくとも、麻薬戦争をはじめとする過激なやり方は、マルコスの背中を追っているようにも見えます。

多少の犠牲者を出してでも治安を改善して国を統制し、経済の発展を目指すという政策によって、熱烈なファンと激しい非難者を二分化しているのです。

このカリスマ性のある二人の大統領を重ねて見ている人は少なくないでしょう。

 

<残り3年で何か起こるか?>

ドゥテルテ大統領の任期はあと3年残っています。

過去3年間の間、随分と世界を騒がせてきていますが、良くも悪くも大きくフィリピンを変えてきているのは間違いありません。

これからも彼は、たとえ「独裁者」となじられようと、ただ自分の信念を貫いてその使命を全うするつもりのように見えます。

マルコス一族も援護者になった今、ドゥテルテ政権率いるフィリピンが抱えている問題はまだ多々あります。

激しく非難されている麻薬撲滅をはじめ、格差の是正やインフラの未発達、政治汚職、対中国関係など、どれも軽視できないものばかりです。

今後3年間の間に、ドゥテルテ大統領の手によってフィリピンがどう変化していくのか、世界中が注目していることでしょう。


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