洗濯機を毎日運ぶ?フィリピンの洗濯事情
発展途上なフィリピンでは、地域や層によって洗濯の仕方はさまざまです。
日本のように洗濯機が家庭に1台普及してはいません。
フィリピンのサマール島カトバロガン・ティンバオン集落では今、日本のシャープ製の洗濯機が人気なのだそう。
田舎でインフラが整備されていないこの集落では、なんと1本の水道を30家庭でシェアして使っています。
そのうち洗濯機を持つのはたった5家庭です。
水道が発達していないため、洗濯をする際には毎回洗濯機を水場まで運び、そこで洗濯してまた家に持ち帰るのがここでは一般的になっています。
ですので、洗濯機に求められるのはなんといっても軽さ。
そして、大家族が多いフィリピンなので、家族全員分の大量の服が一気に洗えることです。
カトバロガン・ティンバオン集落では、シャープのフィリピン工場で生産されている「Giga Wash Twin Tub Washing Machine」(6,000ペソ〜7,000ペソ=約12,000円〜14,000円)が売れているそう。
衣類を一気に6kgまで洗えて、本体も軽いため、この集落の人々にはぴったりなようです。
日本ではなかなか想像ができない生活ですが、さらに貧困層になると、洗濯は全て手洗いで行われています。
仮に洗濯機を持っていたとしても、電気も水道もまったくないため使えません。
大抵は家庭の中の子供が家族みんなの衣類を桶の中でジャブジャブ洗っています。
大家族なので衣類の量も多く、家事の中でも最も大変で時間のかかるものとなっています。
さらに、乾燥させる場所もないため、外の電線などに平気で引っ掛けています。
かなり危険ですよね・・
一方で、都市部の洗濯事情はどうなっているかというと、最近は住宅密集地を中心に「ランドリーショップ」というものが人気を博しています。
ランドリーショップは、たくさんの洗濯機を揃え、基本的にはセルフで洗濯して使用料を払います。
日本のコインランドリーにも似ていますが、無人ではなくスタッフが常駐しているところが特徴です。
また、洗剤や漂白剤といった洗濯グッズを販売していたり、洗濯から乾燥までスタッフが行うサービスもあります。
フィリピン在住の日本人はどのように洗濯しているかというと、こういったランドリーショップのようなサービスを使うこともできますし、洗濯屋さんを利用することもできます。
フィリピンでは、自宅まで洗濯物を取りに来てくれて洗い終わったらたたんでまた自宅まで持ってきてくれる、というデリバリーのランドリーサービスが普及しています。
これは、どこにも行かずに洗濯してもらえるので大変便利です。
日本の駐在員の多くがこのランドリーサービスを利用しているようです。
ただ、服が一部紛失されたり、他の人の洗濯物が混ざってきたりすることもあるようなので、大事な衣類は自分で洗ったほうが無難かもしれません。
日本人の多くが生活しているコンドミニアムでは、家具付きの場合洗濯機も標準装備していることがあります。
また、部屋に付いていない場合でも、乾燥機付き全自動洗濯機が30,000ペソ(約60,000円)程度、乾燥機なしの洗濯機なら10,000ペソ(約20,000円)程度で購入可能です。
しかし、マニラのマカティにはちょっと変わった条例があって、道から見える所に洗濯物を干してはいけないことになっています。
街の景観を守るためのもので、ベランダに干してあるのが見えたらアウトです。
そのため、マカティで生活する場合は、基本的に洗濯物は部屋干しになります。
自分で洗濯するにしても外部のサービスを利用するにしても、フィリピンでは洗うたびに衣類がすごい速さで消耗していきます。
これは、水の質が違うためであったり、外に干すと強すぎる紫外線を浴びてしまうことが原因かと思われます。
とにかく、ボロボロになってしまっては困るような服は、できるだけフィリピンには持ってこないほうが良いです。
あくまでも、消耗品として現地で安いTシャツなどを頻繁に買った方が経済的だと思います。
フィリピンに限ったことではないですが、生活の便利さや物の質など、どこをとっても日本の先進技術というのは素晴らしいのだと感じますね。
経済格差が広がるフィリピンでは、地域によって同じ国とは思えない生活水準の差を垣間見ることがあります。
日本でもデリバリー式のランドリーサービスが安く利用できたら嬉しいですよね。