フィリピン、GDP成長率目標を引き下げ
ここ数年で飛躍的に成長し、世界から注目を浴びてきたフィリピンの経済状況。
出稼ぎ労働者による外貨送金、ビットコインをはじめとする仮想通貨による取引の普及、国民平均年齢23歳という若さと人口ボーナスなどなど、経済を潤滑させている安定的な要因は複数あります。
しかし今回、毎年上がり続けていた国内総生産(GDP)成長率の目標を、2018年は従来の前年比7〜8%から、6.5〜6.9%に引き下げるとフィリピン政府が発表しました。
ここにきて、少し勢いが低下しているようです。
原因としては、原油価格の上昇、加速するインフレ、先進国から外貨流入の現象などが挙げられます。
フィリピンの経済を支えている大きな要素として個人消費がありますが、今年に入ってからはガソリンなどの燃料価格の上昇もあり、国民の財布の紐も硬くなったようです。
また、台風などの災害によって食料の供給も不足していることから値上がりも進み、以前ほどお金が使われなくなりました。
今年1〜6月のGDP成長率は、前年同期比0.3ポイント低下し6.3%で、フィリピン政府が設定していた目標よりも下回っていました。
フィリピンのドミンゲス財務相によれば、アメリカとの貿易摩擦が原因で、世界全体の経済の先行きが読めない状態だと言います。
これまで勢いが衰えなかったフィリピン経済も、今回設定した新たなGDP成長率目標は、水準としてはまったく満足できるものではない、としています。
しかしそれでも、ポジティブな側面が多い現在のフィリピン経済の状況を見れば、また必ず上昇するものと考えているようです。
実際、CPI(消費者物価指数)は3月以降に政府目標を上回っており、さらに2019年には3〜4%までに達すると見込まれています。
今後フィリピン政府は、問題視されているインフレを抑えるために本格的に策を講じていく方針のようです。
現在は政府が管理しているコメの輸入を民間に委ねるほか、2019年1月に予定していた石油税の引き上げもしばらくは見送ることになっています。
どの国でもそうですが、経済には必ずアップダウンがあるものなので、現在のフィリピンの状況も、一時的な低迷なのではないでしょうか。
何より、長期的なスパンで見れば、これほど著しくスピーディに発展を遂げている国は、現在のところありません。
今フィリピンに積極的に投資している企業や投資家は多いですが、まだまだ先が見えない状態ですから、少し気長に様子を見たいものです。