どこまで言えばいい?メイドとの上手な接し方
フィリピンでは家政婦を雇って家事や育児をやってもらうのは当たり前になっています。
共働きの夫婦はなおさらで、子育ては全面的にメイドがやっているという家庭も多いです。
家政婦やメイドと聞くとお金持ちの家でしか雇えないイメージがあるかもしれませんが、フィリピンは人件費が安いため事情が違います。
費用は大体月額で2,000〜5,000ペソ(約4,000〜10,000円)程度なので、中流階級以上の一般家庭ではそこまで大きな負担になりません。
むしろメイドさんが家事育児をすべてやってくれるおかげで、仕事や趣味に時間を割くことができ、結果的にはコスパが良いのです。
■日本人駐在員の家庭にも根付いているメイド
フィリピンに滞在する日本人駐在員の家庭においても、メイド文化は根付いてきています。
日本ではまだまだ普及していないので馴染みがない習慣かもしれませんが、一度利用してみると本当に便利で快適!という人が多いです。
自分が家事や育児にどれほどの時間を費やしていたかよくわかります。
■メイドとのトラブル
メイドが家事や育児を全てやってくれれば生活に余裕ができますが、中にはメイドとの間にトラブルが起こるケースも少なくありません。
給与のこと、仕事内容のこと、勤務中の態度など、やはりお金を払って仕事をやってもらう関係なので、家族同様に扱うというのはちょっと違います。
上手にルールを作って接しなければ、お互いに不快な思いをしてしまうのです。
また、中東などの海外ではフィリピン人メイドを奴隷のように扱ったり、虐待したりするなどの、シリアスな事件も複数起きています。
雇い主はメイドと適度な距離を保ちながら、仕事はしっかりやらせて、良好な関係を築く努力が必要になります。
では一体、どのようなルールを設けて、どのように接するのが正しいのでしょうか?
■日々のタスクは細部まで決める
まず、相手は外国人であるということを理解しましょう。
フィリピンには日本のように”空気を読む”という文化はありません。
会社の仕事でも、基本的には「言われたこと」「決められていること」以外はやりません。
日本の感覚で、「このくらいは言わなくても分かるよね?」と思って期待しても、ほぼ思い通りにはならないと思って良いでしょう。
そのため、仕事の内容に関しては、ちょっと細かすぎかな?と思う部分までしっかり伝えます。
■掃除はどこまでやってもらうか
家事の代表である掃除。
人にやってもらえるのは本当にありがたいですよね。
しかし、どこまでやれば綺麗と呼べるのかは、人によって感覚が違います。
日本人はフィリピン人から見れば多少潔癖に感じるそうです。
ですので、「このレベルまで綺麗にしてほしい」という見本を、一度見せる必要があります。
何も言わず本人にお任せし、「この程度の仕事しかできないの?」と怒る人もいるようですが、まずはしっかり伝えないと分かりません。
■料理は作り方を教える
フィリピン人メイドは、一般的にはフィリピン料理は作れます。
雇い主がそれで満足なら特に問題ないですが、中には日本食を作って欲しいと思う人もいるでしょう。
メイドには和食が作れるスキルを持った人もいますが、そうでない場合は作れるように教えるしかありません。
その際、レシピは細かいところまでしっかり書きましょう。
調味料の「少々」などはフィリピン人にはどのくらいか分かりませんので、一体何グラムなのか、数字で明確に示すべきです。
また、食材の切り方や調味料を入れる順番やタイミングなども、事細かにレクチャーします。
最初は面倒ですが、覚えてもらうとフィリピンでも和食が家庭で食べられるようになるので便利です。
なお、最初から和食が作れるメイドは、給与相場が高くなっています。
■子供の世話
子供の世話も、どこまでやってもらうか明確に決めます。
食事の準備、着替え、お迎え、シャワーなどいろいろありますが、何時にどれをするか、分かりやすく書いておくのがおすすめです。
また、「ママじゃなきゃ嫌!」と言って拒否する子供もいるので、できればそういったケースでも上手に対応できる、子育て経験のあるメイドを選ぶと良いでしょう。
■スマホや携帯の利用制限
メイドとのトラブルでよくあるのが、スマホや携帯をいじっていて家事をサボっている、というものです。
フィリピン人にとって、スマホでSNSを見たり、家族に電話したりするのは一番の楽しみです。
自宅にWi-Fiがある場合は、共用にしても良いでしょう。
しかし、仕事中もずっとスマホで遊んでいるようなら、注意が必要です。
家事や育児は時には手が空くこともありますが、スマホをいじり始めると夢中になって何時間も経ってしまう・・というケースは頻繁にあります。
だけど、特に今すぐやってほしいこともないのに「スマホいじるのやめて!」とは何だか言いづらいですよね。
ですので、スマホに触って良いのは就業時間後、など明確な時間のルールを決めると良いでしょう。
勤務中は雇い主がメイドのスマホを預かる、という家庭も多いです。
■門限を決める
休日は就業時間外とは言え、雇っている住み込みメイドが夜遅くなっても帰ってこない・・というのは、なんだか不安ですよね。
保護責任も問われてしまいそうで怖いです。
そのため、メイドには門限を定めている家庭も多くあります。
時間は家庭によりまちまちですが、18時や21時など、次の日の仕事に支障がないように決めましょう。
また、メイドエージェントを介して雇っている場合は、エージェントからあらかじめ門限が決められている場合があります。
その場合は、雇用主もメイドに門限を守らせなくてはいけません。
そして、もし破ってしまった場合はどうなるかのペナルティも決めておくべきでしょう。
■食事の場所は別にする
雇い主とメイドはあくまでも主従関係であるため、家族とメイドでは食事する場所を別にしている、という家庭も多いです。
雇い主と家族は普通のダイニングテーブルで食事をし、メイドはキッチンのカウンターや簡易テーブルで食べる、などですね。
もちろん必須ではないですが、一定の距離を保つためには必要なことかもしれません。
仲良くなりすぎると、言いたいことも言えなくなってしまいます。
■シャワーの時間も決める
日々のタスクを細かく指定するのと同様に、食事やシャワーの時間も明確にしておくと良いでしょう。
一般的には、就業時間後です。
なお、フィリピンのコンドミニアムにはメイドが住み込みできるよう、メイド部屋の他にメイド専用のシャワーやトイレが付いていることも多いです。
■お金の管理はしっかり
メイドとのトラブルには「お金を盗まれた」というものもよくあります。
もちろん、そのようなことが起これば即刻解雇するしかありません。
しかし、雇う側も金銭の管理はしっかり行う責任があります。
要するに、目の届くところに大金を置かない、ということです。
フィリピン人から見れば、日本人は全員超お金持ちです。
どんなに善良なフィリピン人でも、目の前にお金があれば魔が差すこともあるかもしれません。
■給料前借りはOK??
フィリピン人は、お金を貸してほしい、給料を前借りしたい、といったお願いを、躊躇なく言ってきます。
メイドも同様で、給料前借りに関しては頻繁に聞かれることがあります。
エージェントを介している場合はエージェントに払うのでそもそも無理ですが、個人で雇っている場合は、1ヶ月分までならOKにしているという家庭もあるようです。
そのへんは、メイドの普段の勤務態度を見て決めても良いかもしれません。
ただ、一度前借りさせると癖になって毎月繰り返し、どんどん借金のように溜まってしまうことがあるので、基本的にはあまりおすすめしません。
■時にはボーナスをあげる
フィリピン人メイドは契約で給料を決めているとは言え、たまにはボーナスやプレゼントをあげるのも大事です。
これは「いつもありがとう」という感謝を込めて渡すものなので、金額はいくらでも良いです。
現金ではなく、相手が欲しかったものを買い与えても良いでしょう。
特にクリスマスはキリスト教のフィリピン人にとって非常に重要なイベントなので、プレゼントは絶対にあげた方が良いです。
思いやりや感謝の気持ちを示すことで、より良い関係を築き、仕事も頑張ってくれるようになるでしょう。
■メイドを雇って緩く楽な子育てを!
いかがですか?
ここで紹介したようなポイントをしっかり押さえていれば、フィリピン人メイドは本当に強い味方になります。
子育ても家事も仕事も全て1人でこなすなんて到底無理な話です。
日本人はちょっと頑張りすぎだと言われていますよね。
フィリピンスタイルの緩くて楽な子育てを、メイドさんを雇ってぜひ体験してみて欲しいと思います。