フィリピン人出稼ぎ労働者が日本を救う?
海外出稼ぎがさかんなフィリピン。
毎年大勢のフィリピン人が諸外国へ出かけています。
稼いだお金はほとんどすべて家族へ送金し、生活を支えたり兄弟などの学費を賄ったりしています。
フィリピン中央銀行によれば、2018年11月のフィリピン人海外出稼ぎ労働者を含む海外在住フィリピン人からの母国への送金額は、23億2,600万ドル(約2,530億円)に達したとのこと。
前年から2.8%伸びているそうで、毎年海外で働くフィリピン人が増えていることが分かっています。
フィリピン人の出稼ぎ先は、シンガポール、アメリカ、カナダ、中東地域など様々ですが、日本へやって来ているフィリピン人も大勢います。
賃金が安いフィリピンと比較すると、日本で働けることは相当恵まれていることだそう。
今回パソナ総合研究所が行ったアンケートによれば、日本で家事支援に従事するフィリピン人女性の90%以上が、また日本で働きたいと考えていることが明らかになりました。
日本で働いたことのあるフィリピン人のほとんどが、日本での仕事や生活を気に入っているようです。
何よりも、家事代行スタッフという仕事で時給1,000〜1,500円も稼げることが魅力でしょう。
フィリピンでは日給でも1,000円にもなりません。
シンガポールや香港で月給7万円程度なので、日本は圧倒的に賃金水準が高いと言えます。
また、社会保険が充実していることも日本の強みです。
多少家族と離れて寂しい思いをしてでも、日本で働く意義というのは非常に大きいのです。
出稼ぎでは主にメイドの仕事が人気ですが、実は社会のいろいろな場所でフィリピン人が働いています。
■工場
自動車工場や食品製造工場などでフィリピン人が多く働いています。
高度な技術などは必要なく接客もしないので、日本語に多少難があっても働けるのがポイント。
メイドは女性が活躍していますが、工場ではフィリピン人の男性も働いています。
■英会話講師
フィリピン人講師は英会話スクールをはじめ、オンライン英会話などでも活躍しています。
しかし、日本ではアメリカ人やイギリス人と比べると「ネイティブじゃない」という理由で就労条件を下げられたり、採用にやや不利になることもあります。
英会話スクール以外だと、中学校や高校のALTとして働いているフィリピン人もいます。
■飲食業
ある程度日本語がわかるフィリピン人なら、日本の飲食店で働くこともできます。
特にマクドナルドのようなファストフードはマニュアルもあるので働きやすく、人気の仕事となっています。
ただし、フィリピンのようにのんびりした接客ではなくテキパキと動くことを求められます。
■コンビニ
日本のコンビニでは最近は外国人のスタッフを見かけない日はないのでは?
コンビニの仕事は案外複雑で覚えることも多いので、一定以上の日本語能力が求められます。
■フィリピンパブ
今やフィリピン人の昔の仕事と考えられがちですが、現在もパブで働くフィリピン人はいっぱいいます。
夜の仕事なので時給も高く、30代以上でも働けます。
■介護
持ち前のホスピタリティの高さを生かして、介護施設で働くフィリピン人が増えています。
日本では現在介護士が不足しているため、フィリピン人を中心に外国人の受け入れも強化しています。
上記の他に、農業や漁業、建設業、清掃業などに従事するフィリピン人もいます。
こういった場所で働くフィリピン人の中には、出稼ぎ労働者だけでなく、日本人男性と結婚した配偶者のフィリピン人もたくさんいます。
また、日本へ留学しに来ている学生も、1割程度ですが働いています。
厚生労働省によれば、日本で働くフィリピン人は2017年時点で14万6,798人いるそうです。
今日本はどこもかしこも人手が足りない状態です。
特に建設業、土木系、介護系、医療系での人手不足は深刻になってきています。
こうした中で、フィリピンから望んで日本へ来てくれる人材がいるなら、大歓迎ですよね。
中には理系や工学系の大学まで卒業しているのに、その学歴に見合った仕事に就けていないフィリピン人もいます。
こういった優秀な人材を、日本が積極的に自国で採用していけば、双方にとって好都合です。
日本はまだ外国人労働者への門戸を開いていない状態ですが、現在のままでは労働力不足で確実に経済が回らなくなっていくでしょう。
フィリピンでは逆に人口が増えていて失業率が高くなっています。
しかも、賃金が安くまともに働いても貧しい暮らししか出来ない層がほとんどなのです。
今の発展途上の段階では、今後給料が上がる見通しもまだ立っていません。
また、フィリピン人が日本で働くにはビザがなかなか降りない問題など、クリアしなければならない課題はいろいろあります。
日本語能力が諸外国人と比べて低い(日本語学習者が少ない)ので、語学面でのサポートも必須になってくるでしょう。
しかし、お互いに支え合って良い関係を築き、発展していきたいものです。