フィリピン財務相、中央銀行、アジア開発銀行がコロナ対策で融資
フィリピンにおける新型コロナウイルス感染者は4月20日時点で6,459人、死者は428人となっており、患者は日に日に増えている状況が続いています。
また、感染拡大防止策として実施されているロックダウンにより、経済への影響も多大なものとなっています。
フィリピンには1日数百円で暮らす貧困層やその日暮らしをしている低所得者が大勢おり、彼らは仕事ができない現在は日々食べるものにも困っている状態です。
中小企業も多くが稼動できないため、従業員たちは生活に困窮し始めています。
ドゥテルテ大統領はこのような状況に際し、給付金や物資を届けると発表。
まだ行き届いていないエリアも多数あるようですが、少しずつ配給が進んでいる模様。
また、大手銀行も国民の援助へ回っています。
■フィリピン財務相から2兆5,000億円
フィリピンの地元メディアによれば、フィリピン財務相は、新型コロナウイルス対策の予算として1兆1,700億ペソ(約2兆5,000億円)を用意すると発表しました。
これらの予算は、以下のように使われるとのこと。
■低所得世帯への給付2,050億ペソ
■農業・漁業事業者に対する無利子での融資28億ペソ
■仕事を失った国民への給付35億ペソ
■中小・零細企業への融資10億ペソ
■フィリピン中央銀行による国債買い取り3,000億ペソ
■税金・ローンの支払い猶予
さらに、これでも足りない場合は追加予算を投入するとしています。
■預金準備率も引き下げ
さらに、現在フィリピンの銀行は預金の14.0%を「預金準備率」として預かっていますが、これを12.0%へ強制的に引き下げるということです。
これにより、市場には1,800億ペソの資金が出回ることになり、新型コロナウイルスで大きなダメージを受けてしまった経済を回復する後押しになるとしています。
■アジア開発銀行は200億ドル融資
アジア開発銀行も、フィリピンを含む新型コロナウイルスの感染が広がっている国や地域に対し、緊急融資を行うと発表しています。
3月18日の発表では総額65億ドルとしていましたが、その後さらに135億ドルを追加し、総額200億ドルを融資することにしたそうです。
そのうち20億ドルは、民間企業への融資や保証に使われる予定とのこと。
■世界の経済損失は4兆1,000億ドル
アジア開発銀行は、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界全体の経済損失は最大4兆1,000億ドルになると予測しています。
これは世界全体のGDPを最大4,8%押し下げる試算になるそうです。
また、世界銀行も新型コロナウイルス対策で5億ドルを融資するとしています。
フィリピンにおける地震などの自然災害時の対応予算としても使われる予定とのこと。
■2020年の経済成長率は・・?
国際通貨基金(IMF)によれば、フィリピンの2020年の経済成長率は0.6%になると予測しているそう。
新型コロナウイルス騒動が起こる2月までは6.3%という予測でしたが、大幅に引き下げています。
その理由としてはやはり、輸出国での需要の低下、世界の製造・販売業の混乱、フィリピン国内の消費の低下、投資の低下、そしてフィリピン経済の柱ともなっているOFW(海外出稼ぎ労働者)からの送金額の減少です。
2012年以降7年連続で6%以上の経済成長率を記録してきたフィリピンですが、まさかこのような事態になるとは誰が予想したでしょうか。
2020年は1.7%、2021年には2.9%のインフレも起こると予測されています。
しかし、フィリピン政府は経済成長率について、5.5%〜6.5%という従来の数字を据え置いているそうです。
確かに今は消費は落ちているかもしれませんが、上記のような多額の融資や給付があれば、お金を使うのが大好きなフィリピン人はまた積極的に経済を回してくれるかもしれませんね。
ロックダウンもいつまで続くかわからない状況ですが、政府や銀行が積極的に経済回復へ向けて動いている点は評価できるのではないかと思います。