フィリピンで猛威をふるうデング熱、日本も危険?
南国フィリピンでは今デング熱が猛威をふるっており、今年に入ってからすでに感染者は16万8,000人、死者数は720人に上っているとのことです。
雨季に入ってから蚊が大量発生している模様で、日本人に人気の観光スポットであるセブにも感染者が増えています。
■デング熱の予防方法
デング熱は「ヒトスジシマカ」という蚊を介して感染します。
感染を防ぐためには蚊に刺されないように長袖・長ズボンを着用する、虫除けスプレーを使用して蚊を近づけないようにするなどの対処が必要です。
しかし、暑いフィリピンで、しかも屋外で、長袖を着るのは厳しいものがあります。
フィリピンの保健省は政府機関などと連携して、蚊の駆除や繁殖地の調査などを急いでいるとのことです。
■ワクチンは禁止
デング熱にはワクチンが存在していますが、フィリピンでは現在その使用は禁止されています。
というのも、デング熱ワクチンを接種した人が感染した際に、ワクチンを接種していなかった人よりも重症化したという例があったからです。
これを受けて日本でも、過去に一度もデング熱に感染したことのない人(デングウイルスに対する抗体を持たない人)は、ワクチン接種を控えるように呼びかけています。
■フィリピン以外の国でも・・・
フィリピンではすでに「大流行宣言」が出ており、国民全体に注意喚起を行なっている状態ですが、実はフィリピン以外のシンガポール、マレーシア、ベトナム、タイなど他の東南アジア諸国でもデング熱は大流行しています。
また、もともとは高温多湿の国で多く見られる感染症でしたが、近年はクロアチアやフランス、ポルトガルなど20ヶ国のヨーロッパ諸国でも感染が確認されているそうです。
アメリカの疫病予防管理センターやWHO(世界保健機関)などによれば、将来的には世界人口の40%、25億人以上が感染するリスクを抱えているとのこと。
■日本は大丈夫なのか?
東南アジアとは距離もあり気候も違う日本ですが、海外からウイルスが持ち込まれることによって感染者が出ています。
2014年には69年ぶりに国内でデング熱の感染例が見つかり、全国的に注意が呼びかけられました。
年間の外国人入国者数が3,000万人を超えている今、国内でも年間平均200〜300ほどの感染例が確認されており、輸入を完全に防ぐのはかなり難しいようです。
2020年には東京オリンピックも控え、外国人の大量入国によってさらなる感染者の増加が予想されいるため、水際対策を強化していくなど、予防対策が最重要課題になっています。
■重症化すれば「デング出血熱」で死の危険
この時期は、日本だろうとフィリピンだろうと、あまり湿気の多い藪の中や水たまりのある場所などに、肌を露出したまま行かないことが大事です。
デング熱に感染すれば、特効薬のようなものはなく、解熱剤や点滴などで対処療法を施すしかありません。
体力のある大人なら1週間もあれば治りますが、子供やお年寄りにはやはり死亡例が多いですし、重症化して「デング出血熱」になれば若い成人でも命を落とします。
2016年には、30代の日本人女性がフィリピンから帰国後にデング出血熱で死亡しました。
■日本の企業が新たなワクチンを開発?
感染歴のない人には使用できないとされているワクチン「デングワクシア」に代わり、日本の武田薬品が新たなワクチンを開発しているとのこと。
デングワクシアよりも安全性が高く、使える年齢層も広い新薬「TAK−003」は、2020年前半に販売承認を申請する予定だそうです。
東南アジアをはじめ、気候が温暖化し以前よりも蚊が発生しやすくなっている日本でも、この新薬の活躍が期待されます。
■渡航の際はしっかり予防対策を!
デング熱を媒介する蚊は数年ごとに大量発生すると言われており、今年はまさにその大量発生の年になってしまったようです。
フィリピンでは2016年に1,092人の死亡者が出ていますが、今年はそれを上回ることが予想されています。
フィリピンに渡航される際は、服装や忌避剤による対策を十分行なってください。
蚊が多く発生しそうな場所にも出来るだけ近づかないことです。
また、もし少しでも風邪のような倦怠感を覚えたり熱が出てきたと感じたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。