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フィリピン、マレーシア、中国、複雑に絡み合う外交


南シナ海問題をはじめ、フィリピンと中国との関係は複雑かつ不安定です。

今回、マレーシアのマハティール首相は、3月6、7日にフィリピンのドゥテルテ大統領を訪問し、「中国の『一帯一路』政策に必要以上に関わると『債務の罠』にはまって深刻な問題になる。」と警告しました。

 

■「一帯一路」政策とは?

中国が進める「一帯一路」とは一体どのようなものなのでしょうか。

英語では「Belt and Road」もしくは「One Belt One Road Initiative (B&R)」と表記され、現代版シルクロード経済圏構想と言われています。

といっても、ちょっとピンとこないですよね。

ここでいう「一帯」とは、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパへ続く「経済ベルト」を、「一路」とは中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸部を結ぶ「21世紀海上シルクロード」を指します。

中国の「一帯一路計画」とは簡単にいうと、これらの地域のインフラ投資を積極的にすすめ、高度化していこうというプロジェクトのことです。

具体的には、道路や港湾、発電所、通信設備などを建設するほか、金融、製造、電子商取引、貿易などの産業を活性化させていく計画です、

また、実際にはそのベルトは「一路」ではなく、複数計画されているとのこと、

中国のみならず、インドや中央アジア、西アジア、ユーラシア、インドシナ半島、ロシア、パキスタンなど、5路以上のパイプラインを作ろうとしています。

この壮大で長期的な計画に関して、アメリカやドイツ、シンガポール、ポーランド、タイといった世界各国の国々も積極的に投資していく意向を示していて、「一帯一路」はもはや中国のみならず世界にとって有益だという考えが広まっているようです。

 

■フィリピンに協力的な姿勢を示すマハティール首相

このような世界規模での計画が進む中、フィリピンのドゥテルテ大統領に警鐘を鳴らしたマレーシアのマハティール首相。

彼は、「一帯一路」のことだけでなく、フィリピンが20万人以上の中国人労働者を抱えていることに関しても、「政治的均衡を乱すのではないか」と懸念し、何らかの対策を講じるようドゥテルテ大統領にアドバイスしていたようです。

「中国経済に依存しすぎではないか?」ということですね。

マハティール首相は去年首相に就任して以来、中国と一緒に進めようとしていた大型インフラ整備構想を見直すなど、中国との関係について方向転換する意向のようです。

一方でフィリピンには協力的な姿勢を示していて、南シナ海での中国の覇権拡張にも共同で対処することを決めています。

 

■日本は「一帯一路」構想をどう思っているか?

一帯一路の構想に関し、日本はどうリアクションしているのでしょうか。

実は2017年12月に、日本政府は民間経済協力のガイドラインを策定したそうです。

しかし、ここ数年の中国の動きを見ていると、日本ではあまり肯定的な意見を持たないジャーナリストや評論家が多いようです。

「政情不安定な途上国に投資したところで、不良債権の山になる」「中国には十分な資本がない」「一帯一路プロジェクトは進捗がない。中国が金欠だからだ」といった批判が目立ちます。

一帯一路構想はもう数年前から立ち上がっているにも関わらずなかなか進まないことに対し、そもそも中国にこのようなビッグプロジェクトを実現する財力がないのでは?と、疑問が抱かれているのです。

 

■マハティール首相が警告した「債務の罠」とは?

マレーシアのマハティール首相が言及した「債務の罠」とは一体何なのでしょうか。

中国は今フィリピンに対し、高速道路や鉄道、空港、港湾、橋梁などのインフラ整備に総額1,080万ドル相当の資金を援助すると申し出ています。

この件に関してマハティール首相は、「過去、スリランカも同じように中国から資金援助を受けたが、結局債務が返済できずに2つの港を中国の管理下に置くことになってしまった。フィリピンも同じような事態にならないように注意するべきだ。」と警告したのです。

つまり、中国が「お金は貸すから一緒に一帯一路のインフラ構想を進めよう!」と言いつつ、最終的には自国の領土を広げようとしているのではないか?ということですね。

マハティール首相は、ASEANの中でも言いたいことをはっきり言う老練政治家として知られており、フィリピンの外交が中国基軸に傾いてきていることに関して懸念を伝えようとしているようです。

 

■フィリピンは中国に乗っ取られる??

このようなマハティール首相の警告に対し、フィリピンのカルロス・ドミンゲス財務省は、「フィリピンはスリランカのようにはならない。なぜならドゥテルテ大統領の任期が終わる2022年までに中国に対する債務総額は、全体の4.5%程度に過ぎないからだ。」とコメントしています。

ただ、自国が抱える中国人労働者の多さに関しては、特に言及していないようです。

 

■中国人労働者には寛容なドゥテルテ大統領

マハティール首相は中国人労働者に寛容すぎるフィリピンに対し「このまま大量在留を許していると経済問題に影響がある」と指摘しています。

フィリピンで働く中国人の多くは労働許可に在留許可もない不法労働者だと言われていて、その多くが中国人対象のオンラインゲーム企業に雇用されているそう。

しかしドゥテルテ大統領は、この中国人労働者問題に関してはすぐにどうこうするつもりはないようです。

なぜなら、自国の海外出稼ぎ労働者(OFW)も同じような境遇にあるからです。

フィリピンが中国人労働者に厳しく対処すれば、海外で働くフィリピンの労働者にも同様に厳しい対処が取られることでしょう。

フィリピンにとって、出稼ぎ労働者からの収入はGDPの10%を占める非常に重要な部分を占めています。

もしも彼らがフィリピンへ強制送還されるようなことがあれば、それこそフィリピン経済にとって大打撃です。

しかしそれでもマハティール首相は、「国内に多数の外国人を住まわせれば政治的均衡を乱す可能性がある。どの国の出身者であっても、多数が国内に居住すれば経済に影響を与える。」とさらに念を押しています。

また、外国人労働者が増えすぎると、土地価格が上昇したりフィリピン人の失業者が増えたりするだけでなく、税収も減額するだろうと指摘しました。

 

■中国はマレーシアをどう思っているか?

「中国に気をつけろ」とフィリピンに強い警告を続けるマレーシアに対し、当の中国はどう思っているのでしょうか。

中国政府は、当然のことながらマハティール首相に対して警戒心を強めているようです。

一帯一路プロジェクトに関しても、王毅外相は記者会見で、「債務の罠などではない。パートナーの国々の迅速な経済発展を促すためのものだ。」と反発しました。

 

 

一見他国を味方につけたように見える中国、それを敵視するように警戒するマレーシア、そしてはっきりとした決断を下す前に虎視眈々と様子を伺うフィリピン。

この3国は今、それぞれの思惑を抱きながら複雑に絡み合っています。

フィリピンのドゥテルテ大統領が人の意見だけで動くタイプではないことは、世界中に認知されていることです。

また、一度決定したことを簡単に覆すこともあり、気分屋でもあるように見えます。

いずれにしても、これまで通り独自の路線を貫いていくことは間違いないでしょう。

 

良くも悪くも注目が集まるフィリピンの外交。

すべての国とのバランスを保つのは簡単ではありません。

今後ドゥテルテ大統領がどのように動いていくのかが注目されます。