フィリピンの女性一人旅で気をつけたいこと
誰にも気を遣うことなく、好きな時間に好きな場所へ移動でき、好きなものを選んで食べられる一人旅は、自由で気楽ですよね。
しかしフィリピンに関していえば、もし女性一人旅となると、治安の面での不安はあると思います。
実際、フィリピンは日本人の女性が一人で歩いて安全な国ではありません。
他の諸外国に比べると、危険度は高くなります。
今回は、女性が一人でフィリピンを旅する場合、どのようなことに気をつければ良いかをまとめてみたいと思います。
<まずはフィリピンの犯罪率について知っておこう>
フィリピンは危険危険と言われても、一体どのくらいのレベルなのでしょうか。
フィリピン国家警察が発表している2017年の犯罪統計によれば、その発生件数は52万件あまりです。
前年比でいえば11%減少していますが、それでも日本と比べると10倍にもなります。
犯罪全体の32%は窃盗、傷害・暴行が29%、強盗が15%、殺人が8%です。
アメリカなどの欧米と比べると殺人の割合は少なくなっていますが、実はフィリピンでは日本人も毎年5人ほど殺されています。
ただし、ほとんどは暴力団関係者や麻薬取引関係者やその配偶者、フィリピン人と何らか問題で揉めた人などで、旅行者や留学生が殺されるようなことはまずありません。
それよりも気をつけたいのは窃盗や強盗などの犯罪です。
<身を守るための基本的な知識>
フィリピンに限ったことではありませんが、女性が一人で発展途上国に旅行に行く際に最低限守るべき事項を知っておきましょう。
・夜遅くに一人で出歩かない
・暗い道に入らない、スラム街に近づかない
・高級品やアクセサリーを身につけない、見せない
・派手な格好をしない、肌を露出しない
・財布や携帯、スマホなどをポケットに入れない
・ストリートチルドレンに物やお金をあげない
・現金を大量に持ち歩かない
・知らない人に声をかけられてもついていかない
などなどです。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、いざ現地へ行くと、ついてくるフィリピン人を追い払えなかったり、ストリートチルドレンに取り囲まれてしまったり、つい日本と同じ感覚でアクセサリーを身につけてしまったり、危ない行動をしてしまう日本人が大勢います。
特にスマホをポケットに入れておいて抜き取られるケースは、数え切れないほどあります。
写真を撮ったりしたい場面も多々あると思いますが、よく周りを見て、危なそうな地区ではまずカバンから出さない方が良いでしょう。
<犯罪・トラブルのさまざまなケース>
フィリピンでは上記のように窃盗やスリが最も多い犯罪となっていますが、それ以外にも気をつけたいケースが多々あります。
■睡眠薬強盗
ショッピングモールや観光地、公園などを歩いている際に、フィリピン人が声をかけてくることがあります。
たいてい「日本に家族がいて、日本語を勉強している」だとか「観光案内してあげよう」などと言ってきますが、聞く耳を持ってはいけません。
一緒に何かを食べたり飲んだりするような展開に持って行き、その飲食物に睡眠薬を混入させ、眠っている間に金銭を奪うケースが多発しているのです。
「睡眠薬強盗」と呼ばれています。
また、睡眠薬によって意識が朦朧としている間にATMに連れていかれ、無理やり現金を引き出させる例も発生しています。
最悪の場合、昏睡状態のまま死に至る人もいます。
睡眠薬強盗のターゲットになっているのは、比較的英語が堪能で旅慣れている旅行者です。
組織的かつ計画的に近づき、相手が安心した頃に食べ物をオファーしてきます。
どんなに優しそうな相手であっても、差し出された飲食物を口にしてはいけません。
■子供の集団
子供が集団で近寄ってきて、お金や食べ物をくれと言ってくることがあります。
これに対し、ただ無視できれば良いのですが、物理的に接近してきて囲まれることがあります。
そうして気を取られて揉みくちゃにされている間に、ポケットやバッグに入っている金銭を盗まれるケースが非常に多いです。
相手が子供だとつい気を緩めてしまいがちですが、毅然とした態度で振り切るようにしましょう。
また、こういったストリートチルドレンに囲まれて困っている時に助けてくれるフィリピン人が出てくる場合もありますが、その人もまた強盗を働くシナリオになっていることもあるので、簡単に信用してはいけません。
■麻薬、違法薬物
フィリピンでは、麻薬が蔓延していることが大きな問題となっています。
繁華街を歩いている時に麻薬の売人に声をかけられ、興味を示して手に取った瞬間警察が現れて捕まるいわゆる”おとり捜査”なども発生しています。
現在フィリピン政府は「麻薬戦争」も行なっており、麻薬関連犯罪の容疑者は裁判なしですぐに殺害しても良いという方針で動いています。
観光客が陥れられて殺される可能性もあります。
繁華街で誰かに声をかけられても無視すること、そもそもそういった麻薬の温床となっている場所に一人で行かないこと、訳のわからないものを差し出されても手を触れないことなど、十分に気をつけてください。
■博打詐欺
フィリピン人に声をかけられて仲良くなり、「家でトランプをしよう」と賭け事に誘われ、いかさまのゲームで負かされたあとに多額の掛け金を要求してくるケースも多発しています。
たいていのケースは、相手のフィリピン人を完全に信用してしまい、まさか自分が騙されているわけはない、と思っている際に起きています。
また、途中で「これは詐欺だ」と気づいてもすでに遅く、ナイフで脅され逃げられない状況に陥った人もいます。
さらに最悪なのは、自分は被害者だと思って警察に訴えると、「博打は違法だ」と言われて逆に自分が罪に問われるケース。
自分は大丈夫だなどと思わずに、見知らぬ人の誘いにのったり家に行ったりするようなことは避けてください。
■強姦事件
フィリピンでは性犯罪の件数も日本より多く、約7倍の女性たちが強姦被害に遭っています。
初対面の男性を安易に信用して電話番号を教えたりしないこと、行動を共にしたりしないことが重要です。
また、肌を露出するような格好をしていたり、夜に一人で歩いて帰るような行為は、トラブルの元です。
■その他
そのほかフィリピンでは、タクシー乗車中に人が乗り込んできて強盗被害に遭うケースや、ぼったくり、恐喝、ホールドアップなどさまざまな犯罪が日々常々起こっています。
特に日本人で女性一人となると本当に狙われやすいので、いつ何時でも緊張感を持ってきびきびと動くように心がけてください。
目的なくフラフラ歩いている人が一番ターゲットになりやすいです。
<フィリピンではここも注意>
上記のような事例を知って、普段から気をつけていればある程度は自分で自分の身を守ることができます。
しかし、フィリピンでは人間関係のトラブルにも十分注意してください。
フィリピン人は非常にプライドが高く、バカにされることを極端に嫌う傾向を持っています。
たとえ腹がたっても、相手を傷つけたり神経を逆なでするような発言は絶対にしないように気をつけましょう。
逆上されて危害を加えられても、フィリピン当局では日本人側の話はあまり聞いてもらえません。
とにかくフィリピン人とは喧嘩しないことです。
万が一タクシーのぼったくりなどで口論になりそうになっても、場合によっては潔くお金を払った方が身のためです。
また、フィリピン人は道を聞かれてもし知らなくても「知らない」とは言わない傾向があります。
つまり、知っているふりをしてデタラメを教えてくることがあるのです。
これもプライドが高いゆえの行動ですが、聞く方としてはリスクがあるので、できれば複数の人に聞いてみた方が良いでしょう。
<行ってはいけないエリア>
治安の特に悪い以下のエリアには、女性一人では行かないようにしましょう。
■エルミタ・マラテ地区:マニラの歓楽街
■スモーキーマウンテン:マニラのスラム街
■マンゴーストリート:セブの歓楽街
■コロンストリート:セブの市場
昼間はともかく、夜は麻薬常習犯がそこかしこにおり、本当に危ない地区です。
また、女性が一人で行って楽しい場所でもありません。
絶対に近づかないでください。
逆に安全な地域としては、マニラのBGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)やバギオ、ダバオなどがあります。
マニラとセブは全体的に治安はよくないので、初めてフィリピン旅行に行く人は、地方都市が良いかもしれません。
世界遺産や歴史的建造物など、郊外へ行けば比較的安全で平和なエリアに観光スポットも点在しています。
安全があってこそ、一人旅は楽しいものです。
しっかり知識を持ち、十分に準備をしてフィリピンの旅を楽しんでくださいね!