フィリピンの国立・州立学校が無償化
教育格差が広がっているフィリピンで、「高等教育機会均等法」という法案が成立しました。
国内112の国立・州立大学、そして国立職業訓練校の授業料を無料化するという内容です。
貧困層にも真っ当な教育を受けさせるために作られた法案ですが、実はこれらの学校に通っている生徒の80%以上は富裕層もしくはある程度裕福な家庭の子供たちで、実際には貧困層の教育格差をそれほど埋めていないようです。
フィリピンの貧困層には、教育が受けられないどころか食べるものもろくに無いような家庭も多く、授業料が無料になったところで、労働力である子供をすぐに学校へ入れることは難しいのかもしれません。
フィリピンの小学校も、授業料は無料でも、持っていくお昼ご飯が用意できないからとか、鉛筆やノートを買うお金がないから、という理由で学校に行けていない子たちが大勢います。
そのため、学校を無料化するのではなく、貧困家庭に奨学金を出してあげるほうが効果が高いのでは、という声もあります。
また、ドゥテルテ大統領はこの法案にサインはしたものの、無償化でかかってくる経費年間約1,000億ペソ(約2,200億)をどこから捻出するのか具体的に決めてはいないようです。
ただ彼は、選挙の際にこの法案を公約としていました。
フィリピンでは、お金もあって優秀な子供は私立に行くのが主流となっています。
国立・州立が無料になれば、彼らの流れも変わるかもしれません。
貧困と教育格差をなくすことを目的に作られたものの、直接的な効果が得られるかどうかは、疑問が残りそうです。