フィリピンで横行する中国人の違法就労、汚職問題
フィリピンでは今カジノ産業が飛躍的に成長しており、オンラインカジノもまた国の収益の大きな部分を占めています。
オンラインカジノとは、その名の通りインターネットを利用したカジノです。
2019年の1月〜9月には、オンラインカジノから合計17億9,000万ペソ(約39億円)
の所得税が徴収されました。
これは、国の税収の1%に当たります。
ランドベースカジノも盛んなフィリピンですが、オンラインカジノはいつでもどこでも遊べる新たな娯楽として注目されています。
しかし、フィリピンのオンラインカジノには様々な問題があり、政府は頭を悩ませているのも事実です。
■オンラインカジノで違法就労する中国人
まず、オンラインカジノで最も大きな問題となっているのが、中国人の違法就労です。
オンラインカジノ業界に従事する人たちの約8割が中国人と言われており、正規雇用されているのは86,000人ほど。
しかし、オンラインカジノにはフィリピン政府から認可を受けていない違法のサイトも無数に存在し、そこでは就労ビザを持たずに働いている中国人が大勢います。
■不法入国、収賄事件
今月には、違法オンラインカジノで不法就労するために、フィリピン人の空港スタッフに1万ペソ(約2万円)の賄賂を渡して中国人が不法入国する事件も起こりました。
買収されていた移民当局の従業員5人、そして収賄計画に関与したと見られる職員と従業員も全員解雇されたということです。
ドゥテルテ大統領は、汚職の払拭も公約の1つに掲げており、こういったケースでは容赦無く取り締まっていますが、それでも秘密裏に取引が行われることは多々あり、完全に撲滅するのは難しそうです。
■フィリピンへ取り締まり強化を求める中国
中国ではオンラインを含め、そもそも賭博自体が禁止されています。
しかし、大きなビジネスチャンスがあるのは明らかで、リスクを冒してわざわざフィリピンへ来る中国人は後を絶ちません。
近隣のアジア諸国においても、中国による中国人向けのオンラインカジノが運営されています。
フィリピンではもともとカジノは国営で、政府公認の娯楽賭博を運営している企業は58社ほどあります。
許可を得た企業が運営するのは何の問題もありませんので、そこへ潜り込んでいる不法就労者が大勢いるのです。
中国政府はフィリピンのオンラインカジノに従事する中国人があまりにも多いことから、海外への資金流出を懸念して、フィリピン政府に対し、オンラインカジノ禁止などの厳しい取り締まりを行うよう求めてきています。
ドゥテルテ大統領はこれを受けて2019年4月に、オンラインカジノ運営のライセンス発行を一時停止にしています。
違法賭博サイトに関しては営業停止にしていますが、現在のように新たにどんどん作られてしまうような環境では、あまり大きな効果を現してはいないようです。
■中国スパイ工作?
フィリピンと中国は、南シナ海問題などもあって、長い間微妙な関係を続けています。
違法だろうと合法だろうと、フィリピンにあまりも中国人が増えた場合、国家安全保障上の懸念にもつながると指摘されています。
今でこそ「新型コロナウイルス」対策で中国人は入国できないようになっていますが、軍事施設の近くに中国系カジノが出来ていることなどから見ても、彼らは着実に”侵略”を進めているのかもしれません。
さらにフィリピン国防相は、こういった動きが中国共産党政府のスパイ工作の可能性もある、と指摘しています。
■オンラインカジノはリスキー?
日本人も、フィリピン滞在中に合法のカジノで遊ぶのは何の問題もありません。
しかし、オンラインカジノに関してはどのサイトが合法でどのサイトが違法かを見極めるのは難しいとされています。
万が一違法のサイトで遊んでしまった場合、「知らなかった」では済まされないでしょう。
よほど事情に詳しくない限りは、マニラやセブでランドベースカジノを楽しむのが安全と言えるかもしれません。