触らないで!フィリピンの危険生物たち
美しいエメラルドグリーンの海や緑が豊かな山々など、フィリピンには見ているだけで癒される大自然がたくさん残されています。
街は経済が発展し都会化が急速に進んでいますが、ちょっと車を走らせて田舎の方へ行けば、まだ開拓が進んでいないエリアが数多くあるのです。
自然が豊かであるがゆえに、野生動物や昆虫などさまざまな生き物もたくさん住んでいます。
日本では見られない固有種も多数生息しているので、動物好きな人にとってもフィリピンは非常にエキサイティングな旅行先と言えるでしょう。
しかしながら、危険な生物もいくつか存在しています。
中には人間の命を奪うものもいるので、注意が必要です。
今回は、フィリピンに渡航する際に気をつけて欲しい危険生物についてご紹介しておきたいと思います。
生き物によるトラブルは知識があれば避けられるので、ぜひ参考にしてください。
■ゴマモンガラ
フィリピンのセブではダイビングに挑戦する人も多いと思いますが、海の中には多種多様な危険生物が生息していますので要注意です。
見るからにちょっとヤバそうな顔をしているこちらの魚は、ゴマモンガラ。
日本でも沖縄などで見られる魚ですが、実はサメよりも怖いとダイバーから恐れられているほど危険なんです。
大きさが最大で75センチほどになるゴマモンガラは、非常に縄張り意識が強い魚で、自分の縄張りに入ってきたと見なした生き物に関しては、しつこく追いかけてくるという習性があります。
彼らの武器は、その強靭な歯。
珊瑚礁をも噛み砕くというその力で噛まれると、血が止まらなくなり、大怪我になります。
ウェットスーツを着ていても貫通するほどの威力があり、ひどい場合は肉を食いちぎられることも・・。
特に6〜8月の産卵期には凶暴化しますので、万が一遭遇した場合は刺激しないようにその場を離れましょう。
縄張りを離れればそれ以上襲ってくることはありません。
■ウミヘビ
フィリピンの海に多く生息しているウミヘビですが、そのほとんどの種が神経毒を持っているため、噛まれると危険です。
麻痺やしびれが起き、やがて呼吸や心臓が停止して死に至ります。
ダイビング中に遭遇して噛まれると、海の中で身動きが取れず溺死してしまうことも・・。
ただ、こちらが何もしなければ基本的には攻撃してきませんので、もし見つけても近づかないことが大事です。
■クラゲ
日本の海水浴場でもよく遭遇するクラゲですが、種類がたくさんいます。
刺されると死に至る猛毒を持つものもいれば、痛みだけで終わるものもありますが、いずれにしても危険です。
透明なので海で泳いでいても存在に気づかないのが怖いところ。
特に赤ちゃんクラゲはものすごく小さく、まず見えません・・。
ウェットスーツなどを着用し、出来るだけ肌を出さないようにすることが防衛策になります。
また、特に暑い日などはクラゲが大量発生していることがあるので、海に入る前に最新の情報を確認しましょう。
状況によっては海に入らない方が良いです。
■イリエワニ
オーストラリアなどにも生息するイリエワニは、「人喰いワニ」の異名も持ちます。
先月フィリピン南部の水辺で、10歳の少年がイリエワニに襲われて遺体となって見つかる事件がありました。
ボートに乗っていたところ、突然水の中に引きずり込まれたそうです。
現在、イリエワニはその生息地が縮小しているらしく、人間が襲われる事例が相次いでいます。
名前の通り入江やマングローブの林を好みますが、湖や沼地などにも生息しています。
爬虫類最大と言われるイリエワニは、大きな個体だと全長7メートルにもおよび、肉食で攻撃性も高いので、水辺では注意が必要です。
もし見つけたら静かに立ち去りましょう。
■野良犬、野良猫
フィリピンではマニラでもセブでも、そこらじゅうに野良犬・野良猫がいます。
中には可愛いものもいますし、基本的には何もしてきませんが、これらに触れるのは大変危険です。
その理由は、狂犬病。
フィリピンを含め、世界中の多くの国々ではまだ狂犬病が蔓延しており、感染・発症して亡くなる人の数は全世界で年間5万人にも及ぶそう。
狂犬病は、感染している動物に噛まれることで感染しますが、もし発症した場合、100%死に至ります。
今のところ発症後の治療薬はないので、極めて恐ろしい感染症なのです。
狂犬病を避けるためには、野良犬や野良猫に接触しないことが最も重要です。
犬や猫以外でも、タヌキやイタチ、コウモリなどあらゆる哺乳類から感染する可能性があります。
人に飼われているペットですら、フィリピンでは安全とは言えません。
とにかく動物には触れないことです。
また、狂犬病にはワクチンが存在していますので、心配な方や動物の近くに行く予定のある方は、日本で接種していきましょう。
■蚊
フィリピンでは今デング熱が大流行しており、その死者数は今年だけで600人を超えています。
感染者の数では、なんと11万人。
デング熱は、「ネッタイシマカ」や「ヒトスジシマカ」という種類の蚊に刺されることによって「デングウイルス」に感染し、発症すると、急激な発熱、発疹、頭痛、関節痛、嘔吐などの症状が現れます。
通常は1週間ほどで自然治癒しますが、まれに重症化して「デング出血熱」や「デングショック症候群」を発症し、対処が遅れると最悪の場合死に至ります。
デング熱にかからないためには、まず蚊に刺されないよう注意することが大事です。
出来るだけ肌は露出しない、雑木林などに入らない、水たまりのある場所には行かないようにする、虫除けスプレーを使用するなど、対策を講じてください。
在フィリピン日本国大使館からも、注意喚起が出されています。
また、デング熱に有効かつ安全なワクチンは今のところなく、日本でも研究段階にあります。
■生き物には近づかない!触らない!
楽しい旅行や留学も、危険な生物に触れることで体調を崩したり、最悪の場合は命を落とすこともあり得ます。
日本ではあまり馴染みのない生き物や感染症がフィリピンには存在しますので、十分に警戒して行動してください。
特に海の中には、上記で紹介した以外にも多数の危険生物が生息します。
基本的にはどんなものにも無闇に触らない、近づかないことが大事です。
自分の身を守るため、正しい知識を持って渡航し、安全な旅を楽しんでくださいね!