フィリピンでの仮想通貨に関する規制
フィリピンでは仮想通貨(主にビットコイン)の流通が加速しています。
海外出稼ぎ労働者(OFW)からの送金に手数料や手間がほとんどかからないこと、銀行口座がなくてもスマホだけで利用できることなど、フィリピン社会やフィリピン経済にとってメリットが非常に多いためです。
日本では投資など、いわゆる一部の人々が手を出している儲け話として認識されがちなビットコインですが、フィリピンでは一般庶民にも身近な存在となっているのです。
さて、そんな仮想通貨ですが、世界中では様々な問題や事件も起きているため、政府による規制もだんだん厳しくなってきています。
フィリピンではどのような規制状況になっているのでしょうか。
現在のところ目立った規制はない
実はフィリピンでは、仮想通貨やビットコインに関する目立った規制は今のところありません。
フィリピン政府はビットコインを容認しています。
売買取引は基本的に自由に行われている状態です。
フィリピン人でも外国人でも問題ありません。
しかし、去年は「ビットコインで大金を儲けられる」と詐欺を働いたフィリピン人夫婦が逮捕されるなど、仮想通貨を利用した事件はすでに実際に起きているため、ユーザーへの注意喚起は行われています。
このような事例も受け、ルール作りは現在行われているとのこと。
将来的には売買取引に関しても何らかの規制がかかることが予想されています。
ICO規制も延期に
2018年の後半には、「ICOに関する規制が発表される」というニュースがありました。
マネーロンダリングの懸念やICOの詐欺的な利用が増加してきたためです。
しかしこれも、フィリピン証券取引委員会によって現在まで延期されています。
規制案の内容がなかなか決まらないことや、ICO規制によって影響を受ける人たちからの要求に応えようとしているうちに、公表が遅れたのです。
このような、仮想通貨に関する法規制の延期は、同様の理由によって他国でも起こっています。
ただ、大まかな内容はすでに報道もされており、今後は犯罪防止などに向けた規制が公式に発表されるでしょう。
※ICOとは?
Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)。
新しい仮想通貨のコインを発行・販売することで、企業の資金調達を行うこと。
株でいう新規株式公開にあたる。
仮想通貨取引所に関する規制は?
仮想通貨取引所に関しても、具体的な規制はまだ敷かれていないようです。
逆にフィリピン政府は、フィリピン内の「カガヤン経済特区」において仮想通貨やブロックチェーン関連事業10社の営業を認めるなど、仮想通貨市場の拡大には積極的な姿勢を見せています。
また、同じ経済特区内にブロックチェーンやフィンテックの大学を作ることも検討しているそうです。
ただし、市場が拡大すればやはり浮上してくる問題も多くなるので、今後仮想通貨取引所に関しても規制は必ず作られていくものと考えられます。
■常に最新情報のチェックを!
現在のところ、フィリピンにおいては具体的な仮想通貨に関する具体的な規制はほとんどありません。
それゆえに、ユーザーも増加し、日本人投資家からも注目される市場となっています。
不動産投資などのようにまだ確実性はそれほど高くないものの、売買取引によって儲けを出すことも可能です。
ただ、規制をかけようとしている側もまだ、仮想通貨がどのように悪用されるのかなどをしっかり予測しきれていない状況と言えます。
なにしろ、仮想通貨は2009年に誕生してからまだ10年足らずの新しい通貨で、その概念や仕組みもまだ多くの人々に理解されていません。
儲け話で詐欺被害に遭った人もいたことから「ネズミ講」のようなものだと誤解されている面もありますし、預けておいたコインが消えてしまったなどの事件もあることから、悪しきものとして誤解されてしまっている面もあります。
出てきたばかりの頃は、すぐに消えるとまで言われていました。
しかし今や、特にフィリピンにおいては、ビットコインが社会で確固たる地位を確立しつつあります。
ここまで本格的に暗号通貨やブロックチェーン技術が広まれば、それなりの法規制が必要であることは間違いありません。
フィリピン政府や中央銀行、証券取引委員会では日々協力して作成を進めているようです。
今後いつどのような規制がかかるかは、常にチェックしておく必要があるでしょう。
新しいものにはリスクも付きものですが、技術は確実に進歩しているので、仮想通貨市場がこれからどう世界を変えていくのかに注目したいですね。