フィリピンの病院はすでに飽和状態…このまま医療崩壊に?
フィリピンでの新型コロナウイルス感染者は3月31日時点で2,084人、死者は88人となっています。
マニラ首都圏やセブが封鎖され2週間経った今も、患者は増え続ける一方です。
そんな中、フィリピンではすでに病院が飽和状態であることが大きな問題となっています。
■多くの大型病院が「満床」に
フィリピンの首都圏には大型で最新設備の整った病院がいくつかあります。
私立病院のため医療費は高いものの、日本人をはじめ外国人も安心して利用できる重要な施設です。
しかし今、その多くが飽和状態にあるのだそう。
「マカティ・メディカルセンター」は3月24日にFacebookで「満床」を宣言しました。
“Makati Medical Center has reached its FULL CAPACITY to respond to more COVID-19 cases.”
「マカティ・メディカルセンターは満床となり、これ以上Covid-19患者の受け入れができない状態となりました。」
日本人スタッフもいる大変綺麗で大きな病院ですが、病棟のベッドもICUもいっぱいで、対応の限界にきているとのこと。
「セントルークス・メディカルセンター」や「メディカルシティ」といった同じく大型の医療機関も、軒並み新規患者の受け入れができないと発表しています。
■医師も感染して死亡
さらには、医療スタッフが新型コロナウイルスに感染している問題もあります。
フィリピンではすでに13人もの医師が、新型コロナウイルスで命を落としているのだそう。
また、感染者と濃厚接触した他の医療スタッフも14日間自主隔離しなければならない状況にあり、現場では明らかに要員が不足しているのです。
ただでさえ医師が足りないと言われていたフィリピンで、この緊急事態の中、医師や看護師を多数失うというのは大きな打撃です。
■防護服の不足
医療スタッフが新型コロナウイルスに感染している原因には、防護服の不足があります。
感染患者と接するには当然マスクやゴーグルといった身を守る防具が必要ですが、それらもまったく足りておらず、無防備にウイルスにさらされていることもあるようです。
このため、病院内での新たな感染も起こっていると言われており、負のループとなってしまっています。
■チャーター機はなぜ日本へ向かっていたか?
3月30日、マニラの空港で日本行きのチャーター機が離陸に失敗し、炎上・爆発する事故がありました。
乗員乗客8名全員が死亡してしまうという痛ましい事故でしたが、亡くなったうちの1人であるカナダ人男性の医療目的で日本へ向かっていたと言います。
一時は「コロナ患者を日本へ搬送しようとしていたのか!」とメディアで騒がれていたようですが、実はそうではなく、彼はフィリピンで蚊に刺されて「ジカ熱」を発症していたのです。
通常ならフィリピンで診てもらえるはずの病気ですが、マニラの病院すべてがキャパシティオーバーで受け入れを拒否したため、仕方なく日本の病院を受診することになっていたのだそう。
今や新型コロナウイルスだろうとインフルエンザだろうと、何の病気であっても、フィリピンでは診てもらえる施設がない状態になってきているのです。
■日本は大丈夫?
感染者の増加を防ぎ、事態を収束へ向かわせるためには、医療体制を整え直さなくてはいけません。
しかし、今のフィリピンには現状を悪化させないようにするだけでも精一杯です。
そしてこれは、日本でも同じことが言えるのではないでしょうか。
一部では、高熱が続いているのに何日間も検査してもらえなかった、というケースもあったようで、メディアを騒がせています。
感染者の頭数を増やしたくないだけなのか、それとも受け入れる余裕がないのかは分かりませんが、コロナウイルスらしき症状があっても深刻に受け止めてもらえないことがあるようです。
とにかく今は一人一人が自分の行動に気をつけ、爆発的感染を防ぐよう努めるしかなさそうです。