フィリピンで中国人向けビザ発給を厳格化
フィリピンには現在大勢の外国人が流入してきていますが、中でも特に多いのは中国人です。
観光客はもちろん、就労目的の人や投資家など、さまざまな立場の人がこの国に滞在しています。
2018年には100万人以上の中国人がフィリピンを訪れており、10年前の16万人を大きく上回りました。
ドゥテルテ大統領も、投資を促進するために中国人を歓迎してきたのです。
しかし、ここに来てフィリピン司法省から、中国人向けのビザを厳格化することが発表されました。
主な原因は、不法就労する中国人が急増したためです。
■ビザの悪用、不法就労
もともとフィリピン政府は2017年、中国人向けに到着ビザを発行していました。
このビザは最長6ヶ月までフィリピンに滞在可能なものでしたが、これを悪用して長年不法就労する中国人が急増したのです。
彼らは労働ビザを持たずに、オンラインカジノなどで数年にわたって不法就労していました。
去年の9月〜10月の間だけでも、不法就労やオンライン賭博、入国管理法違反などの容疑で、1,000人以上の中国人が警察当局によって逮捕されています。
このため、到着ビザの発給要件を厳しくすることになったのです。
■新しいビザの要件
ビザ発給の要件が厳格化されれば、
・有効期間は30日間
・一度フィリピンを出国すると使用できなくなる
・就労ビザへ切り替えることは不可
という条件へ変わります。
■オンラインカジノ営業も規制
また、上記のビザ発給厳格化に加えて、フィリピン労働雇用省はオンラインカジノ事業者に「外国人雇用許可証」の取得を義務づけ、違法なビジネスができないよう取り締まりを始めています。
その結果、現在申請が殺到しており対応が追いついていない状況とのこと。
中国側としては以前からフィリピンにおける中国人のオンラインカジノ業界での就労を規制するよう呼びかけていますが、まだ完全な禁止には至っていません。
フィリピンはあくまでも不法な就労を取り締まるのであって、中国人を誰も入れたくないわけではなさそうです。
中国人はカジノなどの娯楽関連産業では中国よりも高い賃金がもらえるとあって、わざわざフィリピンへ渡航している労働していると見られています。
■多すぎて人数が不明の中国人
フィリピンでは現在、中国人が溢れている状況であり、正確な人数が把握できなくなっているそうです。
たしかに中国人なしではこの国の発展は現在のようなレベルには至っていなかったでしょう。
しかし、フィリピン国内では中国が大きな存在感を示していることに対し、懸念を覚える人も少なくないようです。