汚職だらけ?フィリピンの宝くじ
ギャンブルが大好きなフィリピン人。
ラスベガスにも匹敵する規模のマニラのカジノには、連日多くの人々が一攫千金を夢見て足を運んでいます。
また、道端では麻雀に興じるフィリピン人もよく見かけますし、トランプや闘鶏なんかも大人気です。
そして宝くじもまた、愛されているギャンブルの1つ。
フィリピンの宝くじは日本で言う「ロト6」のようなもので、好きな数字を6つ選んで賭けます。
1枚10ペソ(約20円)程度から購入できるため、貧困層の人々にも定着しているギャンブルと言えるでしょう。
宝くじで大金を当てて金銭問題を軽減しようと考える人も少なくないようです。
街中には宝くじ売り場が至るところにあります。
■汚職による宝くじ売り場の閉鎖
しかし今年7月、ドゥテルテ大統領は全国にある21,000店の宝くじ売り場を閉鎖させました。
理由について彼は、「大規模な汚職が起きている。裁判所のいかなる命令に従うつもりはない。不正だらけであり、契約は企業に有利な形で作られており、我々はそれを許したりしない。」と述べました。
フィリピンでは以前から、宝くじ事業者から政府高官への賄賂が頻発していたと言われており、2012年にはアロヨ元大統領が3億6,600万ペソ(約7億8,000万円)を受け取ったとして告発されています。
このような事態を受けてドゥテルテ大統領は捜査を命令。
大統領報道官のパネロ氏も、宝くじの収益の60%が汚職によって失われていると指摘しました。
■フィリピンの宝くじの歴史
フィリピンに宝くじが生まれたのは、1883年のスペイン統治時代です。
もともとはEmpressa de Reales Loteria Espanholas de Filipinasという個人運営会社が始めたもので、スペイン政府の利益が目的でした。
その後、1898年にフィリピン独立革命が起きた際には一度廃止され、1932年にPhilippine Amateur Athletic Federation(PAAF)が再び宝くじ運営を始めました。
この時、「宝くじ義援基金」という名の下で、宝くじからの収益30%をフィリピン結核協会の運営や国民の健康管理、福祉制度に役立てようと制度化されたのです。
しかし、汚職が目立つようになった近年は、それもされていないのではないかという批判の声が上がっていました。
■宝くじはフィリピンから無くなる?
これに対し、国家慈善宝くじ事務局(PCSO)は、やましいことは何もないとして、政府の捜査を快く受け入れるとコメント。
「記録は捜査のために公開されているし、捜査を歓迎する。不正行為に関与する役人がいるのであれば、その人物が裁かれるべきだ。」と述べました。
真偽はまだ分かりませんが、ドゥテルテ大統領があらゆる業界における汚職も根こそぎ一掃しようとしているのは明らかですね。
ただ、純粋に宝くじを楽しみたい国民は、売り場がなくなって困惑している様子です。
また、宝くじ売り場で働いて生計を立てていた人たちは、仕事を失ってしまいます。
このまま宝くじはフィリピンから無くなってしまうのか?
捜査の結果次第ではまた状況が変わるかもしれません。