フィリピン人の死因の68%は生活習慣病
経済は順調に発展を続けているフィリピンですが、平均寿命は2016年のデータで69歳。
日本が84歳というかなり長生きなので、比べてみるとその差にびっくりします。
世界保健機関(WHO)、国連開発計画(UNDP)などの調査によると、フィリピンはGDPの4.8%に相当する7,565億ペソ(約1兆6,643億円)を、がん、心臓病、糖尿病、脳卒中、慢性呼吸器疾患などの非感染性疾患によって損失していることがわかったそうです。
■フィリピン人の死因の68%は非感染性疾患
非感染性疾患とは、いわゆる”生活習慣病”と呼ばれているものです。
原因は、不健康な食生活、運動不足、喫煙、過度の飲酒などで、生活習慣を改善することで予防できるのが特徴。
全世界の死亡者数の68%に当たる3,800万人が非感染性疾患で亡くなっており(2012年)、そのうち80%は発展途上国における死亡者数です。
フィリピンでも非感染性疾患が死因の68%を占めており、平均寿命を下げる主な原因となっています。
死因の第1位は心血管疾患(心筋梗塞や狭心症など)で年間約17万人、第2位は脳卒中です。
■フィリピン人の生活習慣
フィリピンに滞在してみると分かりますが、彼らの生活習慣は決して見習えるものではありません。
食生活では揚げ物や肉など脂っこいもの、塩気の強いもの、砂糖たっぷりの甘いものが多いだけでなく、喫煙者や飲酒を楽しむ人も非常に多い。
その上暑いので運動もしないという悪循環です。
高カロリー&高コレステロールの食事を毎日続けることで血がドロドロになって、心臓や脳などの致命的な部分で詰まるのです。
今回の調査によって、塩分摂取を削減する政策によって16万4,251人、運動促進政策により5万8,397人、たばこ消費削減政策により5万7,872万人の命が救えると試算されています。
また、今後15年間で289億ペソの投資を行うことで、3,777億ペソの経済効果が生まれるとしています。
■貧困層は特に病気になりやすい
フィリピンでは医療制度の未発達も国民の寿命を短くしている原因だと指摘されています。
簡単にいえば、お金がない人は適切な医療が受けられないシステムとなっているのです。
病気になったけど医療費が払えないために死んでしまう人が大勢います。
なので、ちゃんと治療してもらえて長生きできるのは富裕層だけ。
これはアメリカで採用しているシステムを適用したそうですが、貧富の差があまりにも大きいフィリピンでは上手くいっていません。
もちろん、貧困層は健康診断にも行きません。
さらに、体に良いサラダなどの食べ物は高額で、ファストフードなどジャンクフードは比較的安いため、必然的に貧困層の方が食事が不健康になります。
■対策案
フィリピンでは、もっとお酒やアルコールの消費を削減するべく、
・アルコール製品やたばこ製品に対する物品税増税を定める
・食品パッケージにナトリウム含有量や過剰摂取が人体に与える悪影響を明記する
・シンタックス(酒やタバコなど人体に悪影響を及ぼす可能性がある物品への課税)
などの法案が現在国会で審議されています。
なお、現在フィリピンで売られているタバコには、人体への悪影響をリアルに描いた少しグロいくらいの写真が、パッケージに大きく表示されています。
これがどのくらい抑止力になっているのかは分かりませんが・・・
■フィリピン滞在時は健康管理に気をつけよう
健康意識が強い日本人から見ると、フィリピン人の生活は本当に「大丈夫?」と思ってしまうことがしばしばあります。
揚げ物、ご飯、甘いもの、味の濃いもの、清涼飲料水だけで生きているような毎日です。
その上野菜はほとんど摂らないところを見れば、食育が不足しているようにも感じられます。
今の悪しき生活習慣がどれだけ自分の体を蝕んでいるか、誰も教えてくれないので知らない人も多いのかもしれません。
フィリピンへ旅行や留学に行くと、栄養バランスの乱れで体調を崩す日本人もたくさんいます。
滞在する際には、もちろん美味しいフィリピン料理も試して欲しいですが、健康管理には十分気をつけて過ごしてください。
特に数ヶ月単位など、中長期で滞在する方は要注意です。