ドゥテルテ政権で死刑制度は復活するか?
フィリピンではこれまで死刑制度についてその是非が議論されてきました。
現在は停止措置が取られており死刑制度はありませんが、ドゥテルテ大統領はその復活を望んでいる一人です。
もともと大統領に就任する前から、公約の1つとして掲げていました。
しかしながら、彼の思惑と世論とでは差があるようです。
■半数以上が反対
死刑制度に賛成か反対かの意見を問うと、フィリピン国内では以下のような結果が出ているそう。
賛成:30%
反対:54%
圧倒的に反対派が多く、死刑制度の復活はしない方が良いと考えている国民が半数以上です。
■カトリックの影響
死刑制度復活に反対の声が多いのは、フィリピンの主な宗教であるカトリックの影響が大きいとされています。
キリスト教では、どんな罪を犯した人も殺すことは許されていません。
また、フィリピンのカトリック教徒は国民の80%以上を占めており、時に教会は政府よりも強い権威を持つことがあります。
死刑制度の件に関しては、フィリピン政府は強気な態度でカトリックの反対指導者と敵対していますが、カトリック側も譲る気はありません。
■下院では可決、上院では賛否両論
死刑復活案は、すでに下院では可決されています。
現在は上院の可決を待っている状態です。
しかし、上院のなかでも定員24人が賛成と反対に分かれており、法案が成立するかどうかはまだ微妙なところです。
賛成派にはドゥテルテ大統領が推して当選した元国家警察官や警察出身の議員らがおり、彼らの賛成によって過半数に達し、可決する可能性も高いです。
■フィリピンの死刑制度の歴史
なお、フィリピンにおける死刑制度については、以下のような廃止と復活が繰り返された歴史があります。
・1987年 アキノ政権時に廃止
・1993年 ラモス政権で復活
・2006年 アロヨ政権で再び廃止
■薬物関連の重犯罪のみならOK?
また、上院議員の中からは「違法薬物に関わる重大な犯罪の場合のみ死刑を認める」という法案にすることで、過半数の賛成が得られるのでは?という意見も出ているようです。
ドゥテルテ大統領はご存知の通り、強権的な姿勢で麻薬撲滅キャンペーンを行ってきていますので、この法案が通ればまた多くの犯罪者や容疑者が殺されることになるでしょうね。
■あと3年の間に復活するのか?
ドゥテルテ大統領はダバオ市長時代にも犯罪者を1,000人以上、治安維持部隊に殺害させています。
死刑制度があってもなくても、彼がリーダーになればそれはすでに施行されているのと同じなのでは・・とも思ってしまいます。
2015年当時、人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は彼を”処刑部隊市長”を呼びました。
犯罪者を次々と殺すことが果たして本当に平和に繋がるのか?
賛否両論がありますが、彼の任期終了の2022年までまだあと3年あります。
2016年に就任してから現在に至るまでの間には、経済は順調に成長しているものの、それほど大きなことをまだ成し遂げてはいません。
今後3年間の間に死刑制度が復活するのかどうかは、麻薬戦争やインフラ整備、対中国関係などあらゆる国の問題点とともに、その動向が注目されます。