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フィリピン出稼ぎ労働者の複雑な実情とは?


フィリピン経済を支える大きな部分を担っているのが、いわゆるOFW(Oversea Filipino Workers)、海外出稼ぎ労働者です。

2017年には330億ドル(約3兆6,260億円)が送金されており、これはGDPの約10%を占めます。

自国では働き口が見つからないフィリピン人も、海外で働くことでフィリピン国内よりも高い給料がもらえます。

フィリピン人は家族を非常に大事にする文化があり、海外で稼いだお金のほとんどは、母国にいる家族へ送金されています。

 

ただ、一言で「海外」といっても、彼らは一体どこへ働きに出ているのでしょうか?

行く国はどのように決定しているのでしょうか?

希望すれば誰でも出稼ぎ出来るのでしょうか?

日本にはあまり馴染みのない制度なので、ちょっと想像がつかないかもしれません。

 

<フィリピン人の出稼ぎ先>

まずは、OFWがどこの国に出稼ぎに行っているのか見てみましょう。

これはネット上にデータがあり、人数別のランキングと割合(2016年)は以下のようになっています。

1位:サウジアラビア 27.6%

2位:アラブ首長国連邦 16.5%

3位:シンガポール 10.2%

4位:カタール 8.5%

5位:香港 7.0%

6位:クウェート 6.6%

7位:台湾 3.9%

8位:マレーシア 2.0%

9位:オマーン 1.7%

10位:バーレーン 1.3%

こうして見ると、中東地域が大半を占めていることがわかります。

意外にも欧米諸国や日本は10位以内には入っていないようです。

 

<クウェートで起きた無残な事件>

ランキングで見れば中東地域が多いOFWですが、現在中東地域へ出稼ぎしたいというフィリピン人はほとんどいません。

それは、中東でフィリピン人家政婦がひどい虐待に遭ったり殺されたりする事件が起こっているからです。

2018年2月には、クウェートでメイドとして働いていたフィリピン人女性が、冷凍庫内に押し込まれた状態で発見されるという無残な事件がありました。

上述したように、OFWはみんな家族を助けるために母国を離れて必死で働いているのに、中東では人間として扱われないひどい事例があとを絶ちません。

特にクウェートでは家事労働者には一般の労働法が適用されないため、虐待や搾取が横行していると言います。

殴る蹴るの暴行に加え、レイプされる、食事がもらえない、給料が支払われないなど、相当酷い状況が日常的にあるのだとか・・・。

 

<クウェートでの新規就労を全面禁止>

このような事件を受け、フィリピンのドゥテルテ大統領は、クウェートでの出稼ぎを禁止し、すでに働いていた数百人の労働者も、すぐに飛行機を提供して帰国させました。

この措置は最初は一時的なものでしたが、その後恒常的にクウェートへの渡航を禁止することに。

「(クウェートでの)家政婦は今後増えることはない」と語りました。

これに対し中東諸国では反発が起こっているようです。

 

<フィリピン人が海外へ派遣される流れ>

フィリピン人出稼ぎ労働者が、行き先を決定し働き始めるまでの流れは以下のようになっています。

■人材派遣会社に登録する(希望する国を書ける)。

■フィリピンの人事派遣会社と現地の人材派遣会社が提携しており、条件に見合ったメイドを探し、紹介する。

■受け入れ側に気に入られたら、まずはスカイプで面接する。

■無事採用が決まれば、出国へ向けてパスポートなどを準備する。

■健康診断、研修を受ける(試験もある)。

■出稼ぎの許可が降りると、証明書がもらえる。

■出発日とフライトを決める。

■相手国に入国したら、再度健康診断と研修を受ける。

■雇用主と対面して労働開始。

なお、フィリピン人側には希望する国を書く権利はあっても、それが叶うとは限りません。

たまたまその国の雇い主に呼ばれればラッキーですが、基本的には派遣会社が紹介してきた国に行くことになります。

それが中東なのかアジアなのかは分からないのです。

また、就業経験がなくメイドでさえも未経験の場合、なかなか受け入れ先が見つからないこともあります。

何とかしてどこかに雇ってもらおうと履歴を詐称するフィリピン人もいるようで、たまたまどこかに派遣されたとしても、実際は全然仕事ができない、なんてケースもあるみたいです。

こういった、未経験者だけど働きたいフィリピン人たちが、雇用主のイライラを買ってしまい、虐待やいじめに繋がってしまっているのかもしれません・・・。

 

<出稼ぎに出るまでも大変>

上記の流れだと、なんだかサラッと出稼ぎに行けるようにも見えますが、フィリピンではあらゆる手続きに驚くほどの時間がかかるため、実際に派遣会社に登録してから外国へ出発できるまでに、最低4ヶ月以上はゆうにかかります。

書類を揃えてパスポートを申請するところまで行っても、フィリピンではパスポート申請に面接が必要で、そのアポイントメントを取るだけで3ヶ月かかることもあるそうです。

その後、実際に手元に来るまでにはさらに3週間かかるのだとか・・・。

日本だとありえませんが、フィリピンは何でもかんでも時間がかかりすぎなのです。

また、出稼ぎに出発するまでにはお金も相当かかります。

まず、人材派遣会社に払う手数料、家族に残していく生活費、海外滞在に必要なものを買う・・などなど、何かとお金を使うことになるんです。

国内で稼げないから出稼ぎに行きたいのに、この時点でかなりの出費があるのは痛いですよね。

これらの費用が払えない場合、人材派遣会社に借金をすることになります。

フィリピンにはOFW向けの派遣会社が1,300以上あり、中には法外な料金を取っている悪徳な業者も。

最悪の場合借金が多すぎて、出稼ぎ先に行ってからも、しばらくはその返済をしなければなりません。

家族に送金できるようになったのは出稼ぎしてから1年後、なんていう例も珍しくないのです。

 

<本当の貧困層は出稼ぎ出来ない>

上記のように、出稼ぎに行くまでにも様々な手続きで時間とお金がかかります。

フィリピン国民の底辺にいるような貧困層の人たちは、それすらやるお金がありません。

役所まで行く交通費も持っていません。

出稼ぎに行きたくても、申請することがまず叶わないのです。

ですので、出稼ぎによって潤っているのは、実は貧困層よりも少し上の層の人たちです。

OFWはフィリピンの経済を回しているかもしれませんが、貧富の差を根本から解消することには繋がっていないのです。

 

<出稼ぎで人気の国>

フィリピン人たちが希望している人気の国は、シンガポール、マレーシア、香港だそう。

中東よりも近く、何かあってもすぐ帰れる距離で安心なのでしょう。

また、アメリカやカナダ、スペインなどの欧米諸国も、アジアや中東より給料が高いという理由で人気です。

 

<日本は人気がないのか?>

主に香港やシンガポールなどのアジア地域が人気であることが分かりますが、ここになぜ日本は入っていないのでしょうか。

給料水準は決して悪くないはずです。

その理由は、採用要件に「日本語」が入っているから。

フィリピン人は英語は一般的に得意な人が多いですが、日本語が話せる人は稀です。

そのため、たとえ日本で働きたいと思っても、言語の習得がネックになって諦めてしまうのだそう。

現在日本では医療や福祉の業界を中心に、フィリピン人の労働者を積極的に採用していますが、職務上どうしても日本語が出来ないと難しい部分もあり、採用に至るフィリピン人はそう多くないようです。

ちなみに、主にフィリピンパブなどで働く「エンターテイナー」を盛んに入国させていた2000年頃までは、日本では7万人以上のフィリピン人が働いており、出稼ぎ者数ランキングでも3位に食い込んでいました。

その後、エンターテイナーに与えられていた「興行ビザ」が2005年に廃止され、フィリピンパブが激減したことから、フィリピン人労働者も大幅に減ったのです。

 

<給料は高いけど・・・>

フィリピン人にとって、外国でたくさん稼いで家族に送金できるのは、誇らしいことです。

何しろ貧困層のフィリピン人が稼げるのは月1万円程度。

それが海外に出稼ぎすれば少なくとも4万円ほどは稼げるのです(フィリピン政府は受け入れ側に最低月給400ドルというラインを設けているそう)。

これだけあれば、家計を助けることもできますし、兄妹を学校に通わせることもできます。

ただ、仕事は決してラクではないし、過酷な環境の職場も多くありますし、何より愛する家族と離れて生活しなければならないのは辛いこと。

OFWのおかげでフィリピン経済が潤っているのは間違い無いですが、やはり自分の国でちゃんとした仕事に就ける体制を整えること、そして本当の貧困層の人々にも真っ当に働ける環境を作ることが、今後さらにフィリピンが発展するために必要なことかもしれません。