フィリピン人を雇う際に気をつけたいこと
フィリピンでビジネスを展開する際には、現地のフィリピン人を従業員として採用することもあるでしょう。
英語力もコミュニケーション能力も高いフィリピン人は、育て方によっては非常に有益な人材となります。
ただ、日本で日本人を雇って働いてもらうのとは、いろいろな面で違いを感じると思います。
フィリピン人の国民性や文化をよく理解した上で、上手に働かせる工夫が必要なのです。
今回は、フィリピン人雇用に際して知っておきたいことや心がけたいことをご紹介します。
<言われたこと以外はやらない>
フィリピン社会はアメリカの影響を大きく受けており、比較的合理主義です。
無駄なことは嫌いだし、契約書にない仕事はやりません。
日本人のように、”空気を読む”とか”機転を利かせる”といったことは期待できないので注意しましょう。
言われたこと以外はやらないのが基本ですし、もし契約書に記載されていない仕事を頼めば、それに合わせて賃金も上げるよう求めてくるのが普通です。
逆に言うと、従業員側も契約に違反すれば罰せられる社会です。
<契約書が大きな効力を持つ>
上述したように、契約した仕事しかしないのがフィリピンスタイル。
ですので、フィリピン人を雇う際には最初の契約内容が肝心です。
給与はもちろん、勤務時間や休憩時間、休日、仕事内容、違反した際のペナルティなどはあらかじめ明確にしておく必要があります。
<基本的に働きたがらない>
フィリピン人は、もちろん個人差はあると思いますが、基本的に働くのが好きじゃありません。
仕事はさっさと終わらせて早く帰りたい、勤務中も出来るだけ動きたくない、というのが根底にあります。
日本人のように、放っておいても率先して何かをやってくれることは期待できないでしょう。
指示を出さなければ動かず、従業員同士でおしゃべりに夢中になったり、スマホをいじったりすることもあります。
スマホに関してはあらかじめ勤務中は禁止にするなど、ルールを決めておくと良いでしょう。
<すぐに休む&言い訳をする>
フィリピン人を雇って一番困るのは、まず出勤してこない!ということ。
平気で休みますし、その言い訳も嘘がバレバレのものや筋の通らないものばかり。
出勤してきても遅刻は日常茶飯事です。
フィリピン人は遅刻するのが当たり前、という文化がありますが、仕事でこれを許していると、確実に業務に支障をきたします。
あまりにも欠勤や遅刻が多い場合は、ペナルティを課すなどの対処が必要になるでしょう。
ただ、日本人と同じレベルで時間に厳格になることは、フィリピンでは諦めたほうが良いです。
ここは非常にバランスが難しいところですが、あまり怒ってばかりだと逆効果ですので、時には寛容になることも必要です。
<人前では絶対に叱らないこと>
従業員がおしゃべりしていたりミスしたり仕事をサボっていたりすると、雇用する側としては叱らなければならない場面も出てくるでしょう。
そんな時に気をつけたいのが、絶対に人前では叱らないということ。
フィリピン人はプライドが非常に高く、みんなの前で怒られるなんていうのはこれ以上ない屈辱であり、深く傷つきます。
親もあまり子供を叱らない文化のため、そもそも叱られることに慣れていません。
プライドを傷つけられると、その後一緒に仕事を続けることが難しくなったり、最悪の場合逆恨みされるケースも少なくありません。
そのため、従業員に注意をしたい場合は、個人的に別室へ呼んで話すようにしましょう。
頭ごなしに怒るのではなく、ちゃんと話し合いをしようとすれば応じてくれます。
フィリピン人は基本的に自分が悪いとは認めないので、「あなたが悪い」と言うのではなく、「どうすれば良いと思う?」と聞いてみるのが良いでしょう。
また、彼らが仕事を自分で見つけることは期待せず、しっかり指示を出して働かせることも大事です。
<褒める時はみんなの前で>
人前で叱られるのは嫌いでも、褒められるのは大好きです。
もしも従業員の功績を讃えるなど、褒めるような場面があったら、ぜひみんなの前で大々的に発表してあげましょう。
承認欲求が強いフィリピン人にとって、人前で表彰されたりするのは何よりもモチベーションが上がります。
まるで子供のようですね・・(笑)
<家族を大事にしていることを理解する>
フィリピン人にとって、家族は何よりも大事なものです。
そのため、会社にも家族っぽさを求めるところがあります。
誕生日にはケーキを用意したり、クリスマスはみんなでパーティをするなど、アットホームな雰囲気作りをすることで、彼らのモチベーションを上げることができるでしょう。
また、そういったイベント時には従業員の家族も呼んでOKにしてあげると、さらに喜ばれます。
<個々の能力を引き出すように努力する>
日本では小学校から「みんなと同じ水準で同じことが出来るように」教育されます。
しかし、フィリピンはもっとオープンで、一人一人の個性や能力を大切にしています。
日本と同じように画一的に管理しようとしても、まったく彼らの特性を生かすことができせん。
たとえば、時間にはいつも遅刻してきても、すごく仕事が速い人もいます。
普段おしゃべりし過ぎだけど、お客さんから愛されて成績が上がる人もいます。
管理者としては、こういった従業員の潜在性を見抜いて、欠点を克服するのではなく長所を伸ばしてあげるよう指導するべきです。
どうしたら彼ら独自の能力を生かしてあげられるか考えるのは、フィリピンにおいては日本よりも重要ではないかと思います。
<インセンティブの設定>
目標がある方が頑張れるのは、日本人もフィリピン人も一緒です。
ゴールを決めて、それを達成するとボーナスがもらえるとか、無料で食事に誘うだとか、何かしらのインセンティブを与えるのは効果があります。
<仕事は最優先じゃない>
日本人はよく、働きすぎな人種だと言われます。
フィリピン人もそれは強く思っているようです。
日本人にとって、人生の大半を仕事に費やすのは普通のことかもしれません。
しかし、国が変われば文化も変わり、フィリピンでは人生において仕事はそこまで重要な要素ではないのだそうです。
それよりも、家族と過ごす時間、遊んだり踊ったり歌ったりする時間、リラックスする時間を大切にしています。
そんなことやっててもお金にならない!と日本人は考えてしまうかもしれませんが、彼らにとってはそこはそれほど重要じゃないのでしょう。
だから貯金もしないし、もらった給料はすぐに全部使って人生を謳歌してるんです(笑)
どちらが良い、悪い、は無いと思いますが、フィリピンでビジネスをしようと思ったら、彼らのそういった国民性を理解しておくことはとても大事だと思います。
<大切なのはバランス>
フィリピン人を従業員として雇い、上手に管理するためには、ちょうど良い距離感を保つことです。
ちょっと遅刻してきてもすぐに怒らないくらいの大らかさや、ジョークを言って笑えるくらいの軽やかさも必要ですし、同時にしっかり自分がボスであって仲良くなりすぎないという意識も必要です。
フィリピン人のマネージメントは簡単なことではないですが、日本人にはない人間らしさを観察するのも面白いものです。
私たちも彼らから学ぶことがあるという謙虚な気持ちを持って、バランスのとれた関係を築いていけると良いですね。