フィリピン、ラワグで歴史を知る旅をしよう
フィリピンは多民族、多文化、そして複雑な歴史を持つ国であるため、街によってまったく異なる雰囲気を持っています。
首都マニラは経済中心地、セブはリゾート地として最も有名ですが、今回は「ラワグ」という地方に焦点を当ててみたいと思います。
「ラワグ」はルソン島北部、イロコス州にある小さな町です。
マニラからは、飛行機なら1時間、バスでは11〜12時間ほど。
ラワグには、かつてフィリピンがスペインに統治されていた時代の教会などがたくさん残されているほか、郊外にはビーチリゾートもあります。
実は歴史好きな観光客の隠れた人気のスポットです。
今回は、ラワグの中でも特に見ておきたい、歴史を感じる観光名所をご紹介します。
<1. サン・アグスティン大聖堂>
通称「パオアイ教会」とも呼ばれている、バロック様式の石造り教会です。
1694年に建設が始まり、1710年に完成しました。
震災などによってダメージを受けていましたが、故マルコス元大統領の夫人が指導して修復されました。
1993年には、イロコススールのサンタマリア教会、イロイロのミヤガオ教会とともに、世界遺産に登録されました。
教会の中には、美しいステンドグラスや礼拝堂があります。
この教会は、16世紀にスペイン人がフィリピンにやって来た時に、キリスト教布教の拠点として建てられたものです。
ラワグ近郊のパオアイというところにあり、ラワグ市内からはバスかジープニーで20〜30分ほどです。
ちなみに、マニラ市内のイントラムロスにも同じ名前の教会がありますが、ラワグのとはまた別物です。
<2. ベルタワー>
ラワグの市街地にあるベルタワー(鐘楼)は、1793年に完成しました。
フィリピンでは一番背の低い鐘楼ですが、ラワグのシンボルともなっています。
別名「Sinking Bell Tower(シンキング・ベルタワー)」。
砂地の柔らかい地盤の上に建てられているため、その名の通り毎年1センチずつ地面に沈んでいってるのだとか。
フィリピンの重要な文化財ですが、そのうち全部土に埋まって見えなくなってしまうのでしょうか・・?
現在は中に入ることはできず外観を楽しむのみですが、ラワグを訪れる人々はみんな、ベルタワーが最も見る価値があるスポットだと話しています。
まるでロールプレイングゲームの村にでも出てきそうな、古いヨーロッパの雰囲気抜群の煉瓦造りです。
ラワグの市庁舎から徒歩1分です。
夜は美しくライトアップされるほか、クリスマスなどのイベント時には美しいベルの音を聞くこともできます。
<3. セントウィリアム大聖堂(ラワグ教会)>
北イロコス州で最古の教会の1つ。
もともとは木造の教会でしたが、1612年に聖アウグスチノ修道会の修道士によって、現在のようなイタリアルネッサンス様式の教会に建て替えられました。
1843年には一度火災にも遭っており、現在の建物は1873年〜1880年に修復されたものです。
外観は真っ白に塗られており、眩しいほどの美しさを放っています。
また、聖堂内の高い天井は綺麗な水色に塗られており、上品なシャンデリアで装飾され、サン・アグスティン教会とはまた違った静けさを感じます。
ベルタワーとセットで見ておきたいスポットの1つ。
<4. 北のマラカニアン>
マニラのサンミゲル地区に、「マラカニアン宮殿」と呼ばれるフィリピンの大統領官邸があります。
「北のマラカニアン」とは、故マルコス元大統領とその妻が、別荘として使用していた建物のことです。
実はイロコスは、マルコス氏の出生地。
北のマラカニアンは、イロコスにある「パオアイ湖」で採れたカピス貝などをふんだんに使って窓枠などが建造されています。
1階は石造り、2階は木造となっており、ナラの木を使った家具が置かれています。
中に入ることもでき、その広々とした高級感あふれる造りから、当時の大統領の贅沢ぶりをうかがい知ることができます。
ラワグ空港から車で15〜20分ほどです。
<5. マルコス博物館>
故マルコス元大統領の生家の隣にある博物館。
マルコス氏は大統領になった当時は地元の英雄で、今も伝説として語り継がれている、フィリピンの歴史上大変重要な人物の一人です。
なんとこの博物館には、マルコス本人の遺体が冷蔵状態で安置され、一般公開されています。
写真撮影はできませんが、長年フィリピンで独裁政権を敷いてきた元大統領の生で見るというのは、なんとも不思議な体験になりそうです。
その他、彼の幼少期からの記録なども展示されています。
歴史好き、フィリピンの政治に関心のある人には興味深いスポットと言えるでしょう。
<6. イロコス・ノルテ博物館>
北イロコス州の文化に触れることができる博物館。
州庁舎から西に50mくらいのところにあります。
セントウィリアム大聖堂からも近いので、ぜひ一緒に見て回りましょう。
博物館では、北イロコス州の伝統家屋、楽器、工芸品、昔の農具、馬車、洋服、日用品などが展示されています。
建物も煉瓦造りで趣があり、どこかヨーロピアンな雰囲気を醸し出しています。
中にはミュージアムショップもあるので、お土産もぜひゲットしてみてください。
<7. オーロラパーク>
ラワグ市の中心部にある公園。
園内は綺麗に整備され、噴水やモニュメントなどがあります。
ラワグではもともとスペイン人によってタバコが栽培されていましたが、スペイン政府が専売権を持っており、フィリピン人は自由に販売することができませんでした。
1881年になり、スペイン皇太子アルフォンソ12世によってようやくフィリピン人にも販売権利が与えられ、それを記念してこの公園に記念碑が建てられました。
この記念碑の前が、写真撮影スポットとして有名です。
一見すると普通の公園のようですが、実は歴史的な意味が深い公園なのです。
夜は「LAOAG」の文字とともに記念碑がカラフルにライトアップされます。
緑も多く気持ち良い場所です。
<アジアとヨーロッパが融合した歴史の街ラワグ>
いかがですか?
イロコス州のラワグは、スペイン統治時代の名残と東南アジアのエッセンスが混ざり合い、独特な雰囲気を醸し出している何とも魅力的な街です。
歴史や宗教に興味のある人にとっては、大変面白い観光スポットだと思います。
街自体は決して大きくありませんが、ちょっと散歩してみるだけでも趣を感じることができますよ。
マニラへ来る際には、ぜひラワグにも足を伸ばしてみてください。