フィリピンは「マハルリカ」に?賛否両論の声
2月の演説でドゥテルテ大統領が「国名をフィリピンから『マハルリカ』に改名したい」と発言してから、フィリピン国内だけでなく日本のフィリピンパブなどでもずっとこの話題が続いているようです。
長年独裁政治を敷いてきた故マルコス大統領もかつて同様の提案をしていましたが、当時は実現せずに話が流れていました。
それを今、ドゥテルテ大統領が「マルコス大統領は正しかった」と主張しているのです。
「フィリピン」という国名はもともと、スペインの皇太子フェリペにちなんだ名前です。
スペインに350年以上に渡って統治されていたフィリピンですが、すでに独立しているにも関わらずずっと植民地時代の名残のある名前を使いたくない、というのが大統領の考えのようです。
「マハルリカ」とは、マレー系の民族の言葉で「自由」や「平穏」を意味し、サンスクリット語では「高貴に誕生する」といった意味を持ちます。
経済が好調で発展を続ける現在のフィリピンに、こういった意味を持つ言葉は確かにぴったりかもしれません。
また、フィリピンではバスケットボールが人気ですが、そのリーグ名が「マハルリカ・フィリピナス・バスケット・リーグ」であるということもあり、国民にとっても馴染みの深い言葉でもあります。
フィリピン国民たちは、フィリピンが「マハルリカ」に変更することに対して、どうリアクションしているのでしょうか?
■賛成派の意見
国名変更に対しては、国民の反応は賛否両論です。
賛成する人々の意見としては、
・国力、自尊心が高まっている今のフィリピンにふさわしい
・ダバオから麻薬や犯罪を一掃してくれたドゥテルテ大統領の意向を尊重したい
・「マハルリカ」はスペインが植民する前からある素晴らしい名前
といったものがあるようです。
■反対派の意見
一方で、「フィリピン」のままが良いと考える人々もいます。
彼らの意見としては、
・スペインはキリスト教をもたらしてくれたという歴史を持つので変更するべきではない
・ドゥテルテ大統領の独裁体制を強めてしまう
・「フィリピン」という国名に愛着もあるし誇りも持っている
・右傾化すべきではない
・貧困問題や雇用創出など、他に国が向き合うべき重要課題が山ほどある
といったものがあります。
いずれにしても、ドゥテルテ大統領の考えは簡単には変わらなさそうです。
ただ、本当に変更するとなれば法律の改定や国民投票などさまざまな工程を経る必要があり、ある程度時間もかかると言われています。
実現は難しいと言う人もいますが、これまでも実現不可能と思われることを次々と成し遂げてきたドゥテルテ大統領にとっては、そう難しいことではないかもしれません。
彼は良くも悪くも常にフィリピン人の話題の中心となっています。
また、彼の出身であるミンダナオ島から出て夜の世界で働くフィリピーナたちは、ダバオを変えてくれたことに対する感謝の気持ちが強いようです。
日本人の間でも、「マハルリカは呼びづらいのでは?」という否定派もいれば、「言った時の響きも綺麗だし意味も素敵だからいい」といった肯定派もいるほか、「”フィリピーナ”が”マハルリカーナ”になるのか?」などとも騒がれています。
もしかすると、近年中に歴史が大きく変わる瞬間を目の当たりにするかもしれませんね。
実現すれば日本にも少なからず影響はありそうなので、注目していきたいところです。