フィリピンで日本人が就職するには?
フィリピン英語留学や観光旅行をきっかけに、フィリピンで働きたい!いずれは移住したい!と考える日本人も多いです。
温暖な気候や海や山などの自然、そして陽気でのんびりとした優しい人々との触れ合いは、日本に住んでいては体験できないものばかりです。
しかし、実際にフィリピンで暮らしていくとなると、仕事を得ることが必要になります。
リタイアした日本人がフィリピンに不動産を買って、永住権を取得して暮らしているケースもありますが、純粋に海外で就職して働いてみたいという方もいるでしょう。
そこで今回は、フィリピンで日本人が働くのに必要なことや、どんな仕事があるのか、給料はどのくらいか、などについて詳しく見てみたいと思います。
<日本人が出来るフィリピンでの仕事>
日本人がフィリピンで就職する場合、そのほとんどのケースで日系企業に勤めることになると思います。
現在フィリピンには、電機・電子、金属・金属加工、プラスチック・ゴム製品、自動車等の輸送機器、光学機器、食品加工などの製造業のほか、建設、情報通信、商社、不動産、運輸、銀行などの日系企業が進出しており、その数は1,400以上です。
日本人はもちろんですが、現地採用のフィリピン人も大勢働いています。
また、最近ではオンライン英会話スクールや日本語コールセンターなどでも日本人の人材を募集していますし、ラーメン店などの外食産業を営む日系企業も日本人の求人が増えています。
■製造業
自動車産業などの数多くの製造業がフィリピンに進出しており、業務内容としては、施工管理や安全管理、品質管理などがあります。
■広告業
広告やマーケティング人材を募集している会社も多いです。ウェブデザインができる人やメディアの執筆、編集、取材、広告募集の営業ができる人を探しています。
■英会話スクール
現地の語学スクールのほか、オンライン英会話の業務スタッフも募集が多数あります。日本人の場合、英語を教える講師ではなく、顧客や講師の管理、カスタマーサポートなどが主な業務となっています。
■コールセンター
フィリピンはBPO産業(ビジネスアウトソーシング)が盛んで、日本語での電話対応ができるスタッフも募集があります。成績などによっては、オフィスのマネージャーを任されることもあります。
■貿易会社
輸出業務、輸入業務の中の通関手配や倉庫管理、書類作成、納品チェックなど多岐にわたる業務があります。ビジネスレベルの英語ができる人が優遇されます。
<英語力はどのくらい必要?>
フィリピンの公用語はタガログ語もしくは英語なので、英語が話せると就職先の選択肢は広がります。
ただ、日本の外資系企業の求人でよく見る「TOEIC800点以上」などといった、具体的な高スコアを求めている企業は実はそう多くありません。
実際には、「日常会話ができればOK」というところが多く、英語力というよりはコミュニケーション能力の高さの方が重要視されます。
これは、観光業などのはじめ、多くの日系企業での顧客が日本人だからです。
たとえば、フィリピンの英会話スクールで働くとしても、経営者が日本人の場合は業務のほとんどを日本語だけでこなせてしまうケースもあります。
ただ、フィリピン人と関わることは必ずありますし、事務作業などで英語に触れる場面は確実にありますので、英語ができた方が圧倒的に便利で仕事もスムーズです。
現在そこまでレベルが高くなくても、これから学んでいこうという意欲が大切になります。
<雇用形態は大きく分けて2パターン>
日本人がフィリピンで働く際には、大きく分けて「現地採用」と「海外駐在」の2パターンがあります。
現地採用とは、フィリピン法人の企業に勤めることです。
現地で働くフィリピン人と同じ水準の条件・給料になるため、日本で働くよりも通常は安い賃金になります。
ただ、物価が安いためそれでも十分暮らしていけることから、現地採用で働く日本人もたくさんいます。
一方で海外駐在とは、日本の企業に就職した上でフィリピンに派遣されるパターンです。
これは、日本で就職するのと同じなので、フィリピン勤務であっても給料は日本と同じ水準です。
また、それだけでなくプール付きのコンドミニアムを与えられて生活できるほか、子供の養育費が支給されたり、通勤時の送迎がついているケースも多いです。
マカティやBGCなどの高層マンションに住みながら働く日本人には、こういった日系企業の駐在員が大勢います。
これを聞くと、「駐在員の方がいい!」と思うかもしれませんが、駐在員はほとんどの場合海外勤務の期間が決まっているので、ずっとフィリピンに住めることはほとんどありません。
商社で3年くらい、製造業で5年くらいの任期が多いようです。
いずれは日本に帰国するか、あるいは別の国に行くかもしれません。
これに対し現地採用の場合は、日本へ帰されるということは起こりません。
「もうずっとフィリピンに住み続けたい」と考えているなら、現地採用で働いてフィリピンに根を下ろすのが良いかもしれません。
なお、現地採用の場合でも日本と同様に、「正社員」「契約社員」「アルバイト」といった区別があります。
<現地採用の給料はどのくらい?>
海外で就職できても、給料が少なすぎて経済的に困難な生活を送るのは嫌ですよね。
フィリピン法人に就職した場合、基本的には日本で働くよりも低い給与水準になります。
金額はもちろん業種や職種によって異なってきますが、平均月収は約80,000ペソ前後(約16万〜17万円)になります。
<フィリピンで生活できる?>
月給16万〜17万円は、日本で考えると新卒採用の最低ラインといったところでしょうか。
東京で一人暮らしをすると考えると、この金額はかなりギリギリですね。
しかし、フィリピンは物価が安いため、十分暮らしていけます。
日本の水準で考えれば安月給でも、フィリピンでは高所得者の部類に入る金額です。
現地では8〜9万円の月収があれば余裕で一人暮らしが可能と言われていますので、日本に住むよりも贅沢な暮らしが出来ますし、貯金もできると思います。
ただし、ちゃんとしたレストランを毎日利用したり、日本と同じブランド品を求めようとすると、逆に生活コストが高くなることがあります。
フィリピンで暮らすならば、衣食住も現地の水準に合わせたほうが良いです。
ちなみに、フィリピン人の新卒の平均月給は10,000ペソ〜20,000ペソ(約2万円〜4万円)程度です。
この金額を見ると、日本人がどれほど優遇されているかよくわかります。
<エリアによる給料の違い>
日本でも東京と沖縄では給与水準が違うように、フィリピンでも地域差があります。
やはり首都マニラのほうが、セブなどの地方よりも高いです。
平均すると、セブでは月収7〜9万円、マニラでは18万円程度と言われています。
ただ、物価もマニラの方が高いので、どちらで暮らしたいかは個人の好みによって分かれるかもしれません。
<所得税>
フィリピンは所得税が高く、約30%と言われています。
2018年1月には、低所得者の税負担を軽く、高所得者の税負担を重くする法律が制定されました。
求人に応募する際には、提示されている給料が税引き前なのか税引き後なのかを必ず確認しましょう。
短期滞在者の場合は免税されるケースもあります。
<フィリピンで就職するメリット>
温暖な気候や風土、人々の文化や習慣など様々な異文化と触れ合えるなど、フィリピンで働くメリットはいろいろあります。
近くには自然あふれる離島がたくさんあるため、休暇でリゾート地に簡単にアクセスできるのも嬉しいところです。
物価が安いため、少しくらい贅沢してもそこまでお金がかかりません。
また、フィリピンで働くと確実に英語力はアップします。
世界中どこへ行っても英語力は強力な武器になりますし、キャリアアップが狙えます。
そして、日本人とはまったく違う視点やルールを持ったフィリピン人と働くことは、確実にあなたの人間力を上げてくれて、人生の幅を広げてくれるでしょう。
<フィリピンでの生活に必要なこと>
フィリピンで暮らしていくためには、仕事を得るのはもちろんですが、現地の風習や文化に適応することも必要になります。
■フィリピンのビジネスマナー
日本は時間や締め切りをきっちり守るのは、ビジネスでは基本中の基本ですよね。
しかしフィリピンでは、時間に遅れたり期日が守れない人が大勢います。
というより、それを日本ほど悪いことだと思っていません。
「フィリピーノ・タイム」という言葉があるほど、フィリピン人は時間にルーズだったり、遅れても謝らないことがよくあり、それが普通になっています。
こういった彼らなりのルールにいちいち腹を立てていては、フィリピンで生活するのも大変になってきます。
「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、「フィリピン人はこういう人種なんだ」と受け入れて、日本のルールだけで考えないように気をつけましょう。
■宗教
日本人は無宗教な人が多いと言われていますが、フィリピン人は80%がカトリック教徒で、非常に熱心に信仰している人もたくさんいます。
宗教のことを悪く言ったり、軽視するような発言は絶対に避けましょう。
また、クリスマスを4ヶ月にも渡って盛大に祝ったりなど、日本にはない風習があります。
■プライドを傷つけない
フィリピン人はとてもプライドの高い人種と言われています。
もしも現地でフィリピン人と一緒に働くことになった場合、人前で叱ったり注意したりするのはNGです。
言いたいことがある時は、個人的に向き合って話し合うようにしましょう。
彼らのプライドを傷つけると人間関係がこじれて働きづらくなってしまいます。
■家族を大切にする
フィリピン人にとって、家族は何よりも大事なものです。
家族のために休暇を取ったり、家族のためにお金を借りたりするのは何ら珍しいことではありません。
また、職場では従業員の家族も呼んでパーティをする、なんてこともよくあります。
<日本のビジネスマナーは武器になる>
フィリピン現地採用ではフィリピンの風習に従わなければならない場面も多々ありますが、日本人が経営者の会社に就職する場合、日本のビジネスマナーを知っていることは大きなメリットになります。
なぜなら、日系企業の場合は顧客も日本人であることが多いからです。
フィリピン人には教えても伝わらないことも、日本人同士ならスムーズに理解できたり、教えなくてもお客への接待が上手にできたりと、採用する側も楽なのですね。
また、そういった細かいことを、一緒に働くフィリピン人に上手に伝えられるタイプの人材は重宝されます。
<未経験の職種でも働ける?>
フィリピンの求人を見て、「これがやりたい!」と思うものが見つかっても、その分野が未経験である場合、応募するのをためらってしまうかもしれません。
しかし、未経験者を歓迎している企業もたくさんあります。
経験やスキルがなくても、やる気があれば採用してくれる会社もあるので、ピンときたらチャレンジしてみることです。
どんな分野であっても、海外で就職するということ自体、大きな挑戦になるはずです。
また、入社後に研修やOJTでスキルを身につけられることもあります。
<まずは徹底した情報収集を!>
フィリピンで働くといっても、その形態はさまざまです。
自分は何を求めて海外就職を希望しているのかをよく考えてみましょう。
英語力アップが目的なのに日本語しか使わない職種に就いてしまったり、フィリピンの異文化と触れ合いたいのに日本人従業員ばかりの会社に入ってしまったりなど、よく調べずに就職すると失敗してしまうこともあります。
また、マニラ、セブでは生活環境も変わってきます。
まずは、条件を決めてその職に就いている人から話を聞くなど、情報集めを徹底的に行いましょう。
フィリピンでの職務経験は、確実に人生の幅や視点を広げてくれるはずです。