フィリピン国名が「マハルリカ」になる実現可能性は?
フィリピンのドゥテルテ大統領は、今月11日に行われた南部ミンダナオ地方マギンダナオ州での演説で、「国名を『マハルリカ』に変えたい」と公言しました。
ここ数日のフィリピンはこの話題で持ちきりのようです。
しかし一方で、改名は難しいという指摘もあり、議論を呼んでいます。
<「マハルリカ」に変えたい理由>
そもそも国名を「マハルリカ」に変えるというのは、独裁者として知られるマルコス元大統領の時代にも、一度議論された話題でした。
マルコス元大統領は当時、「フィリピンという国名は過去の植民地時代連想させるものだ」と指摘していたのです。
しかし、マルコス氏が組織していたとされる抗日ゲリラ組織の名前と同じだと批判を受けて、改名案は流れてしまいました。
ドゥテルテ大統領はマルコス氏の考えに賛同しているようで、「マルコス氏は正しかった。マハルリカが完全な国家改革の象徴となる。」とコメントし、改名を強く希望しています。
<「フィリピン」という国名について>
「フィリピン」という国名は1543年につけられたもので、スペインのフェリペ皇太子にちなんでいます。
また、ドゥテルテ大統領によれば、「マゼランがフェリペ王の資金を使って発見したからふ、フィリピンという名前がついた」とも主張しています。
16〜19世紀までスペインに統治されていたフィリピンにとっては自然なことだったのでしょう。
しかし、今フィリピンはスペインに頼っているわけでもないですし、1つの国として飛躍的に成長を遂げています。
このタイミングで、新しい国名で新しい国家を築くのは悪くないアイディアかもしれません。
<「マハルリカ」の意味>
「マハルリカ」は、サンスクリット語です。
「マハ」は「高貴」や「偉大」を意味し、「リカ」は「創造する」という意味です。
「マハルリカ」という単語を辞書で調べると、「生まれ、性格、行動において高貴ないし偉大であること」と辞書にも載っています。
まさにドゥテルテ大統領が好きそうな意味合いですね!
実はフィリピン国民にとっても、比較的馴染みのある言葉のようです。
フィリピンには「マハルリカの血(Ang dugo’y Maharlika)」という愛国主義の曲もあり、これが大変人気なんだとか。
また、フィリピンの準プロバスケットボールリーグの名前も「マハルリカ・フィリピナス・バスケットボール・リーグ(MPBL)」という名称でした。
<本当にフィリピンは「マハルリカ」になるのか?>
気になる改名の実現可能性ですが、それほど高いとは言えないようです。
具体的には、国民投票、現行法の改正、世論の支持獲得など様々な活動が必要で、時間も労力も要します。
ドゥテルテ大統領としては「マハルリカ共和国」の初代大統領になりたいと考えているようですが、実現までは何年かかるか分かりません。
彼の任期が終わってしまうのはもちろん、引き続き大統領の座につけるかどうかは定かではありません。
モスクワ国際関係大学付属ASEANセンター所長ビクトル・スムスコイ歴史学博士は、「国名の改名は現在よりもマルコス政権時代のほうがよっぽど簡単だった。一度却下された案をもう一度蘇らせて実現するのは容易ではない。」と話しています。
また、フィリピンのソット上院議長も、「憲法の改正も必要で、変更点が多すぎる」と指摘しており、いつどうやって実現できるかはまだかなり不透明なようです。