フィリピンのクレジットカードとビットコイン事情
私たち日本人にとっては、クレジットカードは日常的に持ち歩く便利なアイテムですよね。
ほぼどこへ行ってもカードでの支払いが可能なので、あまり現金を持ち歩く必要がなくなりました。
これは、アメリカやヨーロッパなどの先進国ではごく当たり前のことだと思います。
<フィリピンはクレジットカードが使えない?>
しかし、フィリピンではどうでしょうか。
実は一部の高級店を除いて、ほとんどのお店でクレジットカードは使えません。
特にローカルな商店や食堂などでは、地元の人々は全員現金を使っています。
田舎の地方や郊外都市のお店も、カードはほぼ使えないと思ってください。
フィリピンでクレジットカードが使えるのは、いわゆる大型のショッピングモール、高級ホテル、高級レストランだけです。
また、高級ショッピングモールの中であっても、使える店舗と使えない店舗があります。
首都マニラの大規模店ならどこでも使える、というわけではないのです。
そして、クレジットカードを使っているのは富裕層のフィリピン人か観光客だけです。
<なぜクレジットカードは普及しないの?>
フィリピンではクレジットカードがほとんど普及していません。
その理由は、国民の8割が中間層以下もしくは貧困層にあたる人々だからです。
クレジットカードを持つには銀行口座が必要ですが、フィリピンでは銀行口座を持つのに維持費がかかります。
貧困層のフィリピン人はその維持費を払うことができないため、銀行口座を持てません。
当然、クレジットカードも持てないというわけです。
<フィリピンにクレジットカードは持っていくべき?>
ほとんど使えないのなら持っていかなくて良いのでは?と思うかもしれません。
しかし、ショッピングモールなどで買い物する機会はあるでしょうし、付帯している保険を利用することもできるので、1枚は持っていくと便利です。
ただし、使えるのはVISAもしくはMASTERで、日本ではどこでも使えるJCBやアメックスなどは使えない場所がほとんどなので注意してください。
<フィリピンでクレジットカードを使って安全なの?>
高級店とはいえフィリピンという発展途上国でクレジットカードを利用して安全なのか?と心配になる方もいるかもしれませんね。
その点に関しては、特に問題ないので安心して大丈夫です。
高級店では多くの観光客や富裕層が利用していますので、お店側も普通に対応してくれます。
ただ、目の前で行われるカードの処理についてはしっかり監視しておくと良いかもしれません。
カードを持ったまま店員がどこかへ行ってしまったり、複数回カードリーダーに通すようなことがあるとスキミングされている可能性もあります。
「何かおかしいな?」と感じたら、カードで支払うのはやめて現金を使うようにしましょう。
また、「ICチップが付いているカードならスキミングされない」という情報もあるようですが、それは間違いです。
ICチップが付いていても、磁気ストライプが付いていればスキミングされる可能性はあります。
<クレジットカードで現地ATMから現金引き出しも可能>
もしも現金が必要になったら、フィリピンにあるATMでクレジットカードを使ってキャッシングすることもできます。
クレジットカードの裏面に「PLUS」という表記のあるものは、海外のATMで引き出し可能です。
このATMは都市部に集中して設置されています。
「Cirrrus」対応のATMもVISAカードのキャッシングに対応しており、こちらはバギやダバオ、イロイロなどの地方都市にも設置されているようです。
ただ、フィリピンは治安の良い国ではありませんので、できれば大型のショッピングモール内など、比較的安全と思われる場所のATMを使いましょう。
近くに人がいない、暗くて狭い道にあるようなATMを使うと、襲われたりする危険性もあります。
また、できるだけ夜間の利用は避けましょう。
<ビットコインは広まりつつある>
多くの店で現金しか支払いの手段がないフィリピンですが、近年は仮想通貨のユーザーが増えているようです。
中でもビットコインは、フィリピンでも広く浸透し始めています。
なぜなら仮想通貨には銀行口座が必要ないからです。
「ウォレット」と呼ばれるネット上の財布に通貨を預けることになりますが、特に維持費なども発生しません。
ビットコインは、スマホ一台あれば誰でもすぐに使うことができるようになります。
そのため、定額を支払わずにスマホが持てるフィリピンでは、貧困層の間でもビットコインが使われ始めているのです、
送金する際の手数料も圧倒的に安く、送金するために業者まで現金を持っていく必要もないので、時間も大幅に節約できるようになりました。
<ビットコインがフィリピン経済を変える?>
フィリピンでビットコインが広まったのは、送金時の手数料の安さが大きな要因です。
OFW( Oversea Filipino Workers=海外出稼ぎフィリピン人)からの母国フィリピンへの送金がフィリピン経済の大変大きな部分を占めていますが、これまでは送金のたびに多額の手数料がかかっていました。
しかし、ビットコインを利用して送金することで、それがかなり安くなったのです。
実にフィリピンのGDPの10%を占めているというOFWからの送金手数料が安くなるということは、フィリピン経済全体に大変大きな影響があります。
ビットコインが普及することで、フィリピン経済がさらに成長すると期待されているのです。
こういった経済発展に伴って人々が豊かになり、ゆくゆくはクレジットカードももっと普及することが予想されています。