フィリピン最大の宗教行事「ブラック・ナザレ」とは?
フィリピンは大変お祭り好きな国で、年間を通して非常にさまざまなお祭りが開催されます。
「ブラック・ナザレ」はその中でも、フィリピン人にとってすごく重要なものの1つです。
フィリピンで、1年で一番最初に開かれるお祭りでもあります。
<「ブラック・ナザレ」とは?>
「ブラック・ナザレ」はお祭りの名前でもありますが、首都マニラの「キアポ教会」にある ”黒いキリスト像” のことでもあります。
この ”黒いキリスト像” は、スペイン統治時代であった1606年1月9日に、キリスト教布教目的でメキシコからフィリピンに運ばれてきました。
木でできており、大きさはほぼ等身大です。
かなりリアルにキリストさんの顔が掘られています。
<どんなお祭りか?>
「ブラック・ナザレ」は一言で言うとキリスト教のパレードです。
日程は毎年、メキシコからブラック・ナザレがやって来たという1月9日。
当日の朝、キアポ教会からブラック・ナザレは持ち出されます。
人々は礼拝を済ませるとこれを台車に乗せ、ロープを繋いで、お神輿のように引っ張りながらマニラの街を練り歩くのです。
リサール公園、ルネタ公園、イントラムロスなどを経由しながら行進し、十数時間かけて再びキアポ教会へ戻ってくるというコースです。
フィリピンのカトリックの最大の宗教イベントの1つとなっています。
2007年には400回目という節目を迎えました。
2019年は412回目だったのですね。
400年前といえば、日本は江戸時代前期です。
そう考えると、ずいぶん長い歴史を伝統持つお祭りであることがよく分かりますね。
<ブラック・ナザレが人気の理由>
ブラック・ナザレがフィリピンで人気なのは、何と言ってもこの黒い色が理由であると言われています。
黒い理由は、「メキシコからフィリピンに運ばれてくる際に、船の中で火災が起きて黒く焦げてしまった」という説や、「メキシコ人やフィリピン人の肌の色を表している」などなど、諸説あります。
自分たちの肌の色と、重ね合わせて見ることができるのかもしれませんね。
ちなみに普段、ブラック・ナザレは黄色い衣装を纏っています。
そのため、信者たちもみんなそれに合わせて黄色いTシャツを着てお祭りに参加します。
<ブラック・ナザレの伝説>
ブラック・ナザレには、「像に触ると病気が治る」「奇跡の力を授かる」「問題が解決する」などの伝説があります。
ですので信者たちはみんなその奇跡にあやかろうと、お祭りでこの像に触ろうと必死です。
全国から集まるその人々の数はなんと200万人!
一気に人が殺到するため、毎年ケガ人や死人も絶えないのだとか。
なんだかちょっと怖いですが・・^^;
また、ブラック・ナザレに敬意を示すために、みんな裸足で行進します。
フィリピン人の信仰心の強さを感じますね。
<「ナザレ」とは?>
「ナザレ」とは、イスラエル北部にある都市の名前で、イエス・キリストが幼少期から過ごした場所です。
新約聖書にも「ナザレのイエス」といった記述があり、キリスト教徒にとって非常に重要な地でもあります。
<観光で見ることはできる?>
フィリピン最大の宗教行事「ブラック・ナザレ」を直接見てみたい!という方もいるでしょう。
ブラック・ナザレには世界中から観光客ももちろん集まります。
1月9日にマニラにいれば見ることは可能かと思いますが、正直言うとあまり安全ではありません。
上述したように死人が出るほどの人がごった返している上、今はテロなどの不測の事態が起こる可能性もあります。
ショッピングモールやホテルなどは特に狙われやすいと言われています。
また、交通網も激しく混乱します。
そして、観光客を狙ったスリなどの犯罪も横行します。
ブラック・ナザレでフィリピンを訪れるなら、十分に気をつけてくださいね。