フィリピンは世界のコールセンター拠点
フィリピンの急速な経済発展の一助となっているものとして、BPO(Business Process Coutsourcing = 業務委託)事業があります。
BPO(=業務委託)によって、多くの企業が自社でしかできない重要な業務に注力できるようになりました。
中でも特にフィリピンで成長が著しいのが、コールセンター事業です。
世界中の企業が今フィリピンにコールセンターを設け、現地フィリピン人を雇用しています。
もともとコールセンターの数は、インドが一番でした。
しかし2014年、フィリピンがインドを抜いてナンバーワンに躍り出たのです。
<なぜフィリピンでコールセンター事業?>
企業のコールセンターは自国でも運営できるはずなのに、どうしてわざわざフィリピンに拠点を置くのでしょうか?
■高い英語力
最近は英語留学先としても知られてきたフィリピン。
実は英語を話す人口は世界で第3位となっており、フィリピンでは公用語です。
小学校から授業が英語で行われており、普通の教育を受けたフィリピン人は標準的に英語が話せます。
そのため、世界のグローバルな企業の仕事であっても、英語で対応できるというアドバンテージがあります。
もともとフィリピンはアメリカの植民地であったこともあり、アメリカ英語がベースになっていることから、アメリカの企業も多くフィリピンにコールセンターを構えています。
■人件費の安さ
高い英語力というスキルを持っているにも関わらず、フィリピンはまだまだ人件費が安いです。
そのため、フィリピン人を採用すれば会社のコストも削減できます。
インド人も英語が堪能ですが、人件費の面においてフィリピンが勝っているようです。
しかし、フィリピン人にとってはコールセンターでの仕事は高給な部類に入ります。
フィリピン人が受け取っている平均的な日給は800円程度と言われていますが(注:時給じゃなくて日給ですよ!)、コールセンターは1日4時間ほどの勤務でも、日給1,400円程度になるのです。
時間は不規則ですが、現地の大学生などにとっては非常に条件の良いアルバイトでもあります。
いわゆる、ウィンウィンの関係なんですね。
<コールセンターで働くフィリピン人>
コールセンター拠点にフィリピンが選ばれる理由として、フィリピン人の国民性や性格も大きな部分を占めています。
■勤勉で真面目なフィリピン人
楽天的で怠けがち、というイメージを持っている人も多いようですが、実は真逆で、フィリピン人って根はとても真面目で勤勉なんです。
また、非常に素直な人が多く、しっかりと指示通りに動いてくれるんですね。
ホスピタリティが高く、相手のために尽くす精神も持っています。
そのため、おもてなしの心を大事にする日本人とも馬が合うようです。
コールセンターという仕事は、電話口での相手によって多大なストレスを感じることもあります。
しかしフィリピン人はそういった場面でも明るく気持ちを切り替えて、仕事を続けることができるという面も持っています。
■低い離職率
フィリピン人は一度就職すると、その仕事をそう簡単に辞めません。
離職率が低いという点においても、インドを上回っていたようです。
特にコールセンターのようなストレスの大きな仕事では、インド人はすぐに嫌になって給料に文句を言ったりするそうですが、フィリピン人はそういったことで突然辞めてしまうということがないので、雇用側も安心なんですね。
■コミュニケーション能力の高さ
フィリピン人は、とにかく人と話すことや人の話を聞くなどコミュニケーションがすごく上手です。
コールセンターの仕事では、いろんなお客としゃべることになります。
早口の人、怒っている口調の人、お年寄り、若者、すごくゆっくり話す人など、相手によって自分も話し方や対応を臨機応変に変えなければなりません。
フィリピン人はそういった様々な状況でも器用に対応するスキルも持っています。
また、最初はそれができないとしても、どうしたら上手にコミュニケーションが取れるのか?を自ら学ぶ姿勢も持っています。
英語でただ受け答えができるだけでなく、お客の目線に立って話ができることもフィリピン人の強みです。
要するに、とっても頭が良いんですね!
<日本人もフィリピンのコールセンターで働けるのか?>
さて、フィリピンに滞在し、アルバイトしたいなぁなんて日本人もいるでしょう。
海外での仕事の経験が欲しい!という学生さんなんかもいますよね。
日本人はフィリピンのコールセンターで働けるのでしょうか?
■日本語対応できるのは1つの能力
世界各国の企業のコールセンターともなれば、やはり英語ができないと無理なのでは・・・と思うかもしれません。
しかし、フィリピンのコールセンター求人の中には、日本語ができれば仕事ができるという案件も存在しています。
フィリピンでは日本語がしゃべれるフィリピン人というのが意外と少なく、日本人を必要としている企業も結構あるんですね。
主に日系企業ですが、たとえば観光客など日本人の顧客のみを対象とするコールセンターもあります。
ですので、英語が特にできなくても仕事はできます。
しかし、もちろん英語ができれば選べる仕事の幅が広がることは間違いありません!
また、日系ではなく外資系で働きたいのなら、やはり英語力は必須となるでしょう。
高い英語力を持つフィリピン人がライバルになるのですから、それなりの努力は必要です。
■日本人にとっては決して高給ではない
フィリピン人にとってはかなりエリートな仕事であるコールセンターですが、日本人にとっては決して高い給料ではありません。
単に「海外で働いてみたい、経験が欲しい」というだけなら比較的簡単にやらせてもらえるかもしれませんが、そこで生活費をずっと稼ぎ続けるのは簡単ではないでしょう。
キャリアアップを狙うために、仕事をしながら英語力を磨き、ゆくゆくは別の仕事を探すことを目標にした方が良いと思います。
<今後もフィリピンの経済発展に期待しよう>
人口が増加し、労働力の有り余るフィリピンでは、今後もさまざまな分野で世界から注目されることでしょう。
ほんの数年前までは、フィリピンがコールセンター事業でナンバーワンになるなど予想されていませんでした。
しかし彼らの持つポテンシャルは、これからも自国のみならず世界の発展に貢献していくと思います。
だからこそ、新規事業の立ち上げや不動産投資などにも火がついているんですね。
十数年後のフィリピン経済がどうなっているのか、期待しながら観察していきたいものです。