韓国からフィリピンへ大量のプラスチックごみ輸出
現在世界中で、プラスチックのゴミが大量に排出されていることが問題視されています。
ペットボトルなどのようにリサイクルが可能なものもありますが、中には再利用のできない単なる廃棄物となってしまうものもあり、これらをどう処理するのかは世界で考えていかなければならない問題です。
そんな中、発展途上国はしばしば先進国からプラスチックをリサイクル原料として輸入しています。
フィリピンもその1つです。
しかし今回韓国から、リサイクルできないプラスチックごみが大量に輸入されそうになっているのが見つかりました。
その量は数千トンにもおよび、フィリピン関税当局の調査によって輸入直前に港で見つかったそうです。
この大量のプラスチックごみは、今年7月に韓国で船積みされたもので、フィリピンのベルデソコフィリピン産業という会社が輸入したとされています。
フィリピン南部のミサミスオリエンタル州のミンダナオ・コンテナターミナルに到着した貨物の中身が、輸入を禁止されている廃プラスチックであることが明らかになりました。
輸入される前に関税当局には、「プラスチック合成かけら」と申告されていたそう。
プラスチック合成かけらは通常、リサイクル可能な空のペットボトルなどを意味します。
しかし実際に送られてきたのは、リサイクル不可能なプラスチックごみや木が混入した廃棄物でした。
国際環境団体の「グリーンピース」などは、韓国がこれらをのゴミをすぐに回収し、ゴミの輸出をやめるように要求しています。
しかし、韓国から送り主が誰なのかはまだ分かっていないそうです。
この件に際しフィリピン現地の環境団体である「生態ごみ連合」は、「最近の廃プラスチックの投棄事件あまりにもショック、許せない」とコメントしています。
フィリピンはゴミ処理のインフラがまだ未発達であるために、そこらじゅうに散らばるゴミで環境破壊されていることが問題となっています。
特にプラスチックごみは深刻で、大量の廃プラスチックが海に流れていることで生態系を脅かしているのです。
すでにそのような状況であるにも関わらず、さらに他国からゴミを受け入れなければならないのはおかしな話です。
今年1月、中国はプラスチックをはじめとする廃棄物の輸入を全面中断しました。
するとまるで行き場のなくなったゴミを流してきているかのように、韓国からフィリピンに来る廃プラスチックの量が2.5倍以上に増えたそう。
自国で出たプラスチックごみを「リサイクルごみ」という名目で送りつけて発展途上国で処理させる悪質な事例は、ここ数年で増えているようです。
にも関わらず、一番海洋汚染が進んでいるのは発展途上国だと指摘するのですから、あまりにもひどい話です。
韓国が速やかにこの廃棄物を全て回収し、輸入を中止するようグリーンピースは求めています。
フィリピンでは海洋汚染のみならず、ごみによる環境破壊が深刻です。
「スモーキーマウンテン」とよばれる「ゴミ山」は、ゴミの集積所とされてはいますが、実際は単に処理できないゴミを積み重ねていっているだけです。
ここでは貧困層の子供たちが、ゴミの中から売れそうなものを拾い集め、それを売ってわずかな金銭を稼ぎながら生活しています。
政府はこのゴミ山を2020年までに閉鎖するとしていますが、実際には具体的な処理方法が分かっているわけではなく、どこかへ移動されて見えないように土をかぶせられるくらいでしょう。
根本的なゴミ問題の解決にはなりません。
ゴミ問題によって治安も悪化していますし、貧困も深刻になっていますし、病気の感染など衛生的な問題も発生しています。
せっかく雄大な自然と美しい海を持つ国なのですから、それを守るための対策は急がれるべきです。
フィリピンを訪れると、想像以上に散乱したゴミに驚くことでしょう。
ゴミ問題を根本から解決することは、長期的にみてフィリピンの発展に繋がることは間違いありません。
逆にいえば、ゴミ問題が経済発展を遅らせているのです。
フィリピン政府としては後回しになっていますが、家庭ゴミを分別させるなど、すぐにでもできることはあります。
これからまだ発展し成長していくことが期待されているフィリピンが、クリーンで快適で安全な国になることを願います。