フィリピンのダバオでの禁煙キャンペーンに効果
かつてはフィリピンで最も治安の悪い街として知られていたミンダナオ島のダバオ市。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領がかつて市長を務めていた時代に、この街は”世界でも有数の治安の良い街”へと変わりました。
麻薬犯罪や窃盗などを徹底的に取り締まったことで犯罪者が減り、フィリピンのお家芸であるタクシーのぼったくりすら、この街ではほとんど見かけません。
そんなダバオ市は、禁煙キャンペーンでも成功をおさめているようです。
公共の場での喫煙者が劇的に減少しました。
禁煙キャンペーンもまた、ドゥテルテ大統領が市長だった時代に立法した条例で、保健省(Department of Health)からはRed Orchid Hall of Fame Awardを受賞し、ASEAN地域の喫煙関連調査を行なっているSoutheast Asia Tobacco Control Allianceからも認定されました。
ダバオの成功例に倣い、ダバオの北西にあるカガヤン・デ・オロ市も同様のキャンペーンを取り入れるようです。
具体的な策を学ぶため、今回Smoke-Free of Cagayan de Oroと呼ばれる部隊をダバオ市へ送りました。
カガヤン・デ・オロ市でもダバオ市で行われていたことを再現していきたい考えです。
ダバオ市が禁煙キャンペーンに成功した要因として、
・政治的意思
・徹底的なマスメディアキャンペーン
・組織的支援
・タバコ産業との交渉を一切停止
・条例違反者には1,000ペソ〜5,000ペソの罰金、最長4ヶ月の懲役
・喫煙できるのは指定された屋外のスペースのみに限定
などが挙げられますが、カガヤン・デ・オロ市でもこれらのアイディアを採用していく方針のようです。
これまでの犯罪率低下に効果があったのと同じように、刑罰が重くなるほど人々の変化も大きくなるようですね。
また今回ダバオ市では、Anti-smoking Task Force(反喫煙部隊)という部隊を構成し、2019年から禁煙カウンセリングとニコチン代替療法を始めるそうです。
対象者は、禁煙キャンペーンで逮捕された違反者。
喫煙中毒になっているニコチン依存者を更生させ、タバコに頼らずに生活できるよう支援することが目的です。
Anti-Smoking Task Forceの長官アシュリー・ロペス博士によれば、ニコチン代替療法によって、ダバオ市内の喫煙率は最低でも30%まで下がると予想されています。
また反喫煙部隊は、喫煙による健康への影響を一般市民に教育したり、禁煙法を執行したりと未来の喫煙者を増やさないよう尽力しています。
現在フィリピンで販売されているタバコのパッケージには、「四肢の変形やボロボロの肺」など、喫煙による身体的な悪影響を生々しく描写した注意書きがあります。
禁煙や喫煙に関する注意喚起においては、日本よりも進んでいると言えそうです。
フィリピンでは現在、ダバオだけでなく全土で禁煙の動きが高まっています。
特にドゥテルテ大統領が就任してからは禁煙宣言も行われており、タバコが吸える場所はほんのわずかです。
彼は「健康維持のためではなく、公共の利益のため、国の繁栄のために禁煙にした」とコメントしています。
フィリピンでは道端でも、車の中でも、レストランでもカフェでも、タクシーの中でも、喫煙はできません。
ちなみに日本はというと、これほど先進国であるにも関わらず、禁煙は世界に遅れをとっています。
レストランやカフェなどでは吸えないところが多く、路上喫煙も条例で禁止されてはいるものの、道端でタバコを吸う人はそこらじゅうにいます。
条例はあっても、法律はありません。
警察も、見つければ注意はしますが実際に罰金まで取られる例は少ないようです。
実は罰則を適用している例はほぼなく、形だけの喫煙規制になっているのが現状です。
また、条例を承認するまでにも時間がかかります。
その点フィリピンは、大統領が禁止と言えばすぐにそれが決定しますし、違反者には即罰則が適用されます。
麻薬戦争を含めドゥテルテ政権の大胆な政策には賛否両論あるものの、このスピード感は日本にも見習って欲しいものです。
タバコには数多くの企業や税金などの問題が関わっており、日本の政府は現状のルールを変えることに二の足を踏むようですが、ドゥテルテ大統領が言うように、長期的に見れば国の利益と繁栄に繋がることは間違いありません。
もしもあなたが喫煙者なら、フィリピンに渡航する際はタバコを吸う場所にはくれぐれも気をつけてください。
ほとんどの場所は禁煙です。
違反が見つかれば問答無用で罰則が適用されるでしょう。
また、外国人が罪を犯したとなると余計に厄介な問題に発展しかねません。
面倒でも、喫煙場所をちゃんと探してルールを守って吸ってくださいね。
ちなみにフィリピンのタバコの価格は日本よりも安く、海外銘柄は60ペソ〜100ペソ(123円〜205円)、ローカルの銘柄だと20ペソ(41円)程度です。
日本と違って価格はお店によって異なり、スーパーやコンビニ、免税店で購入できます。
サリサリストアのような商店では1本からでも買えるので、愛煙者はフィリピンのローカルタバコを試してみても良いかもしれません。