フィリピンの期限付き雇用問題と国益保護のバランスとは?

これまで長年の間、フィリピンではいわゆる”期限付き雇用契約”が一般的でした。

期限付き雇用契約とは読んで字のごとく、労働者を一時的に雇用し、業務上必要がなくなれば雇用し続ける義務がない、という制度です。

その期間は完全に自由で、雇用者と労働者の間での合意があれば成立します。

ですので、3ヶ月間の契約社員もいれば、5年間の契約社員もいるといった状態です。

ENDO(end-of-contract)と呼ばれており、フィリピンの悪しき労働形態として知られていました。

この期限付き雇用によって、何年働いても正社員になれず社会保障がない国民が多いことや、給料が上がらないことなど、労働者にとってのデメリットが大きく、ここ数年はフィリピン国内で問題視されていました。

また、労働者側も「どうせ期限付きなのだから」という気持ちで仕事に臨むため、いつまで経っても業務に対するモチベーションが上がらず、結局は会社全体の能率が悪い、とった結果にも繋がっていました。

 

日本でも、”派遣切り”といった言葉が流行しましたが、似たような状況ですね。

正社員として従業員を雇うことは雇用側にとっては大きな負担になりますから、できるだけ都合の良いように使いたいというのが本音でしょう。

 

ドゥテルテ大統領はこの問題にも取り組むべく、期限付き雇用契約を禁じるように動いていました。

大統領に当選する前から、労働者の環境改善に意欲的だったのです。

当選後は左翼派の閣僚を政権に招き入れ、派遣社員の雇い止めをなくすよう企業に求めてきました。

事実、彼が就任した2016年にはフィリピンではストの数が前年の3倍に急増し、15件ありました。

労働者たちは、確実に以前よりもストが起こしやすい環境になったと感じているようです。

 

しかしこれに対し、企業側は労働争議に直面しています。

確かに労働者側にとっては働きやすい環境へ改善されてきていると言えますが、企業側にとっては、季節労働者すら雇えない条件になってしまいます。

違法な労働ストライキが増えていることも問題です。

また、多くの中小企業が、従業員全員を正規雇用するほどの財源を持っていません。

そのため、必然的に事業停止や従業員削減を余儀無くされると言われています。

フィリピンの企業のほとんどは中小企業です。

また、フィリピンで展開している外資系企業も、全員を正社員にしなければならないとなれば、フィリピンにオフィスや工場を持つメリットがなくなってしまい、他の国へ移ってしまうでしょう。

そうなれば、今度は国全体の経済が循環しづらくなるだけでなく、国際競争力も失うことになります。

事実、すでにフィリピンに拠点を持っていた外資系の食品メーカーが労働者たちと争議になり、フィリピンから撤退しました。

このような事例が食品メーカーだけでなく通信や金融、運輸などの国益に関わる企業で起これば、現在のような経済成長にも歯止めをかけることになります。

経営者連盟やフィリピン商工会議所などは、ドゥテルテ大統領が進めていた有期の労働契約を原則として禁じることになる法案に反対しました。

 

労働雇用省のベナデビス次官代理によれば、ドゥテルテ大統領が就任してから30万3千人もの労働者たちが正社員化されました。

今年に入ってから、ルソン島の日系企業も5,000人近くの労働者を正規雇用するよう命じられています。

 

しかし、この動きをどこまでどの程度進めていくべきかは、慎重になるべきかもしれません。

現在フィリピンは深刻なインフレに悩まされています。

労働者たちにとっては、国益よりも自分たちの生活の方が大事に決まっていますから、大衆迎合主義のドゥテルテ大統領はますます強く支持されることになるでしょう。

労働者の権利を守ることと、企業側および国益を守ること、一体どちらが正しいのでしょうか。

いろんな観点があるため一概には言えませんが、双方にとって不利益にならないように、何かしらバランスの取れた対策が必要です。

 

そして、実は労働者側にとっても、正社員=最善ではないようです。

特に若年層においては、さまざまな仕事を経験したい人もいます。

期限付きで働き、契約が終了したらまた別の仕事を経験する、というスタイルが好きな人もいます。

強引な干渉は避け、妥協点を探っていくことが課題ではないでしょうか。

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