マニラ首都圏の最低賃金が上がる?
フィリピン首都圏の最低賃金は現在日給512ペソ(約1,070円)となっています。
これを334ペソ(約700円)引き上げることを、マニラ首都圏の地域賃金生産性委員会に対し、フィリピン最大の労働組合が求めています。
すでに7月に、320ペソ引き上げる請願書を出していましたが、さらに拡大して要求することを決めたようです。
ここまで大幅な引き上げを要求している理由は、他でもないインフレによる物価上昇が背景にあります。
物の値段だけが上がり、給料は変わらない状況に、いよいよ不満の声が強まっているようです。
もしもこの要求が通れば、農業以外での最低日給が65%上がることになり、864ペソ(約1,800円)となります。
22日に労働組合の代表、24日にフィリピン雇用者連合との協議を行ない、26日の公聴会を経て、政府がどうするかを決定する流れとなっています。
フィリピンのインフレ率は、今年9月に6.7%を記録。
過去9年で最高水準に達しています。
6月からだと、5.2%の上昇です
このような物価上昇を計算に入れると、現在の最低賃金512ペソは、実質的には340ペソ程度の価値しかないと、フィリピン労働組合の広報担当者は述べています
この労働組合の要求に対し、フィリピン雇用者連合の理事長代行は、334ペソも引き上げることはできないと主張しています。
最低賃金の引き上げは必要と考えてはいるものの、労働組合の要求は常識はずれだと指摘しているようです。
実際にフィリピンに行ってみると分かりますが、現在の物価は日本人が想像するほど安くありません。
人件費こそ安いものの、食品や日用品、家賃や飲食店での料金などは、日本とそこまで大差がないと思って良いです。
少し贅沢に暮らそうと思ったら、日本よりお金がかかってしまう例もあります。
そんな中、日給が1,000円ちょっとでは、どうにもやり繰りできないことは明らかでしょう。
いくら消費が大好きなフィリピン人でも、手元に何もお金がなければ使うこともできません。
一部の富裕層だけが潤う今のインフレ環境を改善しなければ、せっかくここまできた経済成長を止めてしまうことにもなりかねません。
劇的な変化の過程にあるフィリピン経済が、何とかこれからも前向きに進んでいくよう祈るばかりです。