ICOの仕組みとフィリピンでの動き
ビットコインなどの仮想通貨が浸透してくるにつれて、ICOという言葉も知られるようになってきました。
フィリピンでもすでに動きがあります。
<ICOとは?>
ICOとは、Initial Coin Offeringの略で、意味は「新規仮想通貨公開」です。
企業や事業団体が新しいプロジェクトを始めるためのスタートアップ資金を、仮想通貨を発行することによって調達するシステムです。
投資家たちに「コイン」や「トークン」などのデジタル通貨を購入してもらい、対価は支払われない仕組みです。
ICOは、別名「クルドセール」や「プリセール」「トークンセール」などとも呼ばれています。
これまでは企業の資金調達には株式を発行して出資してもらう方法と、銀行などの金融機関から借り入れを行う方法が利用されてきました。
今回は、ここに仮想通貨の発行という新しい資金調達手段が誕生し、注目されています。
事実、すでにICOによって、たった30秒で3,500万ドルを調達したというストーリーもあります。
ICOは、金融機関から借りる時のように信用が必要になったり、借入利率が高くなったりすることがありません。
まだ何も実績のないベンチャー企業や個人の小さな会社であっても、仮想通貨による資金調達には何の障害もなく、比較的簡単にできてしまうのです。
また、集めた資金は配当を払う必要もなく、利子もなく、投資側も少額から資金提供できるというメリットがあります。
もちろん、投資家は購入したデジタル通貨をいつでも転売できます。
<フィリピンでのICOの動き>
フィリピンの証券取引委員会は、7月2日にICOに関する規制の草案を公表しました。
内容としては、これからICOで資金調達を行おうとする企業はすべて、まずはそのトークンやコインなどのデジタル通貨の安全性を検査されます。
具体的には、「初期査定要求」を提出しなければならないとのこと。
また、ICOトークン発行体は、プレセールの90日前までに提出することを義務付けています。
これらの規制の目的は、投資家の保護です。
フィリピン証券取引委員会は去年から、仮想通貨資産に関してフィリピンの証券法下で規制してく方針を示しています。
しかし、取り締まりが厳しくなってきているとはいえ、フィリピン政府は相変わらず仮想通貨に関しては好意的な姿勢です。
今年はカガヤン経済特区でブロックチェーンとフィンテックのハブを立ち上げ、仮想通貨企業10社の入居を認めています。
仮想通貨取引所3箇所の運営を認めました。
これにより、法定通貨ペソと仮想通貨の交換もできるようになりました。
フィリピンは今、仮想通貨が最も急速に浸透している国の1つです。
経済成長を続ける中で、仮想通貨の持つ様々な利点が、さらにフィリピンの発展を加速させていくことは間違いないでしょう。