なぜフィリピン人はミスコンに強いの?
独身女性の美を競うミスコンは、日本ではあまり気にされていないイベントですが、フィリピンではボクシング、バスケットボールと並んで非常に人気の娯楽です。
小さな地元のコミュニティ内はもちろんのこと、州レベルや全国レベル、果てはミス・ユニバースやミス・ワールド、ミス・インターナショナルの代表者が決まる「ミス・フィリピン」は最も話題を集めます。
その全国大会はテレビで放映され、高い視聴率となります。
また放送の翌日には、人々はそれを話題に話すなど、ミスコンに対する情熱が大変強いです。
というのも、美人が多いフィリピンはミスコンに強いのです。
昨年2017には、テレサ・スセン・モレノ・マルケスさんが、ヒスパニック・アメリカ・クイーンで、カレン・イバスコさんがミス・アースで、それぞれ栄冠に輝きました。
なぜフィリピンはこんなにミスコンに強く、かつ人気のイベントなのでしょうか?
<ミスコンの歴史とは?>
ミスコンが始まったのはいつなのでしょうか。
フィリピン大学のホセ・ウェンデル氏によれば、第二次世界大戦前だそう。
当時、「カーニバルクイーン」がフィリピンの物産を宣伝する活動を行なっていましたが、だんだんとカーニバルよりもクイーンのほうが話題になっていきました。
そして、カーニバル・クイーンはやがて、アイドルのように扱われるようになったのです。
彼女たちは地方の権力者と結婚し、社会的地位を手に入れていきます。
実例として、故マルコス大統領の夫人イルメダ・マルコスがいます。
彼女はミスコンに出場し、賞を受賞したために、マルコスに見初められ、美とともに権力を手に入れました。
<社会的現象になる>
フィリピンはのちに、ミス・ユニバースやミス・インターナショナルなどの国際的なミスコンに出場するようになります。
フィリピン政府もミスコンをサポートし、やがては社会に認知されるようになりました。
そして、ミスコンで勝つことが、徐々に社会的地位の獲得へと繋がっていきました。
<ビジネスになったミスコン>
さらに、ミスコンで得る賞金によって生活する女性も増えていきました。
ミスコンは制度化され、ビジネスとしても発展していったのです。
また、スポンサーが現れたり、コンテストがフランチャイズ化されたり、ミスコンでお金を稼ぐ人が増えていきました。
<ミスコンは見た目だけではない>
ご存知かと思いますが、ミスコンで競われる「美」は見た目の美しさだけではありません。
本人の思想や宗教観、価値観なども審査のポイントになります。
キリスト教が浸透しているフィリピンでは、宗教観が他の国民と一致しているかどうかも、評価に関わってくるようです。
<家族のために入賞を狙う>
フィリピンは、経済発展が進んできてはいるものの、まだまだ社会的格差が大きい国です。
特に貧しい家庭の女性は、真剣にミスコンに取り組みます。
もし参加して政治家などの権力者に認められれば、名声が手に入るのみならず、金銭的にも豊かになります。
人生を逆転させるようなことが、ミスコンで可能なのです。
そうなれば、フィリピン人が最も大切にしている家族を、助けてあげることもできます。
ですから参加者はみんな、非常に高いモチベーションを持っています。
<ミスコン入賞後はどうなるか>
ミスコンで入賞すると、賞金を得たり、社会的に認められるだけでなく、その後芸能関係で仕事をすることもできます。
同時に、自分のやっている慈善活動や勉強にも励むことができ、金銭的にも精神的にも豊かになれるのです。
フィリピンの女性たちがミスコンに夢中になり、入賞を目指すのは、そのあとに待っている明るい未来を描いているからなのです。
フィリピンがミスコンにおいて常に上位国である理由は、このように様々な方面からサポートが入り、人生逆転のチャンスがあるからでしょう。
政府や社会が認めていることは非常に大きな要因だと思います。
また、もともとフィリピン人女性が世界的に見ても美しいことは間違いありません。
フィリピンへ行ったら、彼らのミスコン熱を体験してみるのも面白いと思います。