フィリピン語、タガログ語とは?
フィリピンは、実に7,000以上もの島々からなる国です。
そのため、言語も非常に多様で、170以上に及ぶ言語集団を抱える多民族国家でもあります。
公用語はフィリピン語と英語ですが、そもそも「フィリピン語」が何を指すのかは、人によって見解が分かれます。
ほとんどの人たちは、フィリピン語=タガログ語 と認識していますが、たとえばセブではセブアノ語がメインの言語となっており、実際はかなり複雑です。
同じ「フィリピン語」とカテゴライズされていながら、双方の話者は意思疎通が難しいのだそうです。
また、170以上ある各言語は混ぜて使われていることもあり、フィリピン語は現在も変化し続けています。
そのため、何が正しいフィリピン語なのか?は、定義が難しいのです。
英語とタガログ語が混ざった「タグリッシュ」も広く使われています。
フィリピン語は、オーストロネシア語族に属する言語です。
文法的には最も複雑な言語の1つであり、動詞の変化は時制によって10以上存在します。
日本人にとって発音は決して難しくありませんが、語彙に関してはスペイン語、英語、サンスクリット語、インドネシア語から由来しているものが多く、日本語との類似性や関連性はほとんど見受けられません。
しかし一方で、台湾の高山地帯や先住民の言語や南東沖に住む「タオ語」との類似性は強くなっています。
英語は概ねどこでも通じます。
フィリピンの経済が急速に発展している理由として、彼らの持つ高い英語力が挙げられます。
国際社会で生き抜くための、強力な武器を持っていると言えるでしょう。
フィリピンでは、教育や学術界においては英語が主な言語です。
1900年代前半のアメリカ植民地時代に、フィリピンでは英語教育が根付きました。
しかし、英語が通じると言っても、彼らの第一言語はあくまでもフィリピン語です。
フィリピン人同士が英語で会話していることはほぼありません。
また英語とともに、自分の地域の言語およびフィリピン人としてのアイデンティティを失わせないようにするため、「Mother-Tongue Based Multilingual Education」が導入されています。
地方においては、小学校3年生まではその地域の第一言語で教育し、4年目以降からは英語で教えるというものです。
理系の科目のほか、技術家庭科や音楽、美術、保健体育なども英語になります。
このように、学校では英語を話し、家族や近所の住民とはタガログ語や自分の地域の言葉を話すフィリピン人は、ほぼ全員がバイリンガルかそれ以上の言語話者ということになります。
ちなみにテレビなどのメディアではフィリピン語(タガログ語)が使われています。
フィリピンの映画館で上映されているアメリカ映画に、字幕はありません。
とにかく言語に関しては、本当に多様で複雑な国です。
私たち日本人がフィリピンへ行く際には、とりあえず英語ができれば何の問題もありませんが、もし余裕があるならタガログ語も勉強してみましょう。
彼らの母国語から、その土地の文化や国民性が見えてくることもあります。
そして何より、コミュニケーションはよりスムーズになるでしょう。
複数の言語を操る彼らのスタイルを、私たちも見習いたいものです。