フィリピンの平均寿命とその背景
フィリピンの経済成長を支えている大きな要素として、人口増加が挙げられます。
しかも、その人口の年齢が若いことは注目に値します。
フィリピンの人口ピラミッドを見てみると、60歳以上はなんと6.7%しかいません。
20代の労働人口が多く、「人口ボーナス」と呼ばれる状態になっています。
これに対し、日本の人口ピラミッドを見てみると、60歳以上が30%を占めています。
いわゆる高齢化社会であり、労働力のある若者が減少しています。
少子化も進んでおり、社会のシステムを根幹から変える必要があると言えます。
このままでは経済は低迷していくばかりです。
多くの日本人がフィリピンをセカンドライフの場所に選んでいるのも納得です。
また、フィリピンでは人口が増えているだけでなく、平均寿命も伸びています。
1960年には57.8歳だったのが、50年で10歳近く伸び、2012年には68.8歳になっています。
しかし、これは日本と比較するとまだまだ低い状態です。
2016年時点で日本の平均寿命は84歳でした。
せっかくフィリピンは若い人口が多いのに、みんな70歳手前で亡くなってしまうのです。
これはなぜなのでしょうか?
まず考えられる原因としては、医療制度の違いが挙げられると思います。
フィリピンは貧富の差がまだまだ大きい国ですが、医療費が高くて病院にかかれない人が大勢いるのです。
辛辣な言い方をすれば、貧乏な人は死んでもしょうがない、といった状態です。
日本のようにお金がなくても最低限の医療が受けられる制度が整っていないのです。
また、フィリピン人の生活習慣も、平均寿命に関わっていることは間違いありません。
まず食事の内容があまり健康的とは言えず、野菜は全然食べずに肉や甘いもの、インスタント食品ばかりを食べている人が多いです。
これも、野菜が高いから買えない人が多い、という背景があります。
お金がないために、毎日の食事をファストフードなどで済ます人が多いのです。
そして運動不足。
渋滞のひどいフィリピンでは、みんな常に車で移動しますから、ほとんど運動しません。
実は運動神経の良い人も少ないようです。
これに加え、衛生環境の悪さも挙げられます。
ゴキブリやダニが多いので感染症にかかりやすい上、暑さで食べ物や飲み物もすぐ腐ってしまいます。
マカティなどの高級住宅街に住む富裕層は別として、貧しい家庭には掃除機や洗濯機も家庭に普及しておらず、いつも汚い家に汚い服で住んでいるため、病気になりやすいのです。
人口が多いことは確実に経済成長にプラスに働きます。
しかし、せっかく持っている人口を活かしきれていない面もあるのです。
性感染症やエイズが多いことも見過ごせない事実です。
カトリック教の関係上中絶ができないため子供がたくさん生まれるのは仕方ありませんが、学校にも行けずまともな教育が受けられなければ、労働にもなりません。
今後は社会のシステムや衛生環境を改善していくことが、フィリピンの大きな課題になるでしょう。