南シナ海問題をめぐってフィリピンは中国と戦争?
フィリピンと中国の仲違いが深刻になってきています。
ドゥテルテ大統領はこれまで、中国とは投資や貿易、インフラの分野で関係強化を優先してきました。
しかし今、南シナ海問題を巡って、対立が悪化してきています。
中国が南シナ海に7つの人工島を建設し、軍事拠点としたことで、ドゥテルテ大統領は「戦争をする可能性がある」と発言しました。
また、大統領顧問(安全保障担当)であるヘルモネス・エスペロン氏は、「フィリピン軍が挑発や攻撃を受ける事態になれば、戦争も辞さない」と発言。
これまでフィリピンは外交においては緊張緩和する姿勢を示していましたが、今後は中国の出方によっては本当に戦争になるかもしれません。
争点となっている南シナ海のスプラトリー諸島は、100以上の島や環礁から成っています。
大陸棚の漁業資源や石油、天然ガス資源を保有しています。
この領域の領有権を主張しているのは実は中国だけではなく、台湾、ベトナム、マレーシア、そしてブルネイも絡んでいます。
フィリピンはここに滑走路や港を建設しています。
中国本土からは800キロ離れていますが、中国軍はさまざまな部隊を派遣しており、最近は核搭載可能なH6K爆撃機を人工島や環礁に離着陸させました。
明らかに、パワーを見せつけようとする行為です。
しかし、ドゥテルテ大統領はこの攻撃的な姿勢を受けても沈黙を続けており、フィリピン国内からは批判の声もあがっているようです。
これまで「強い指導者」としてその名を轟かせてきたドゥテルテ氏が、実は中国に対しては弱腰なのではないか?という見方があります。
エスペロン氏は依然として、「圧力には屈しない」と語っています。
また、アラン・ピーター・カエタノ首相も、「もし誰かが東シナ海の天然資源に手を出したら、ドゥテルテ大統領は戦うはずだ」とコメントしています。
一方で、ドゥテルテ大統領が無為無策すぎると批判する野党議員もいます。
中国のヘリコプターが、航行中にフィリピン海軍の艦船に異常接近したにも関わらず、抗議をしないドゥテルテ大統領に対して、イライラしているようです。
今年4月に習近平国家主席に対し、「大好き」と発言した一件は、まだ記憶に新しいですね。
ドゥテルテ大統領には、中国との関係を悪化させたくない思いと、自分たちの領域を守りたいという思いで、葛藤があるのかもしれません。