フィリピンで非正規雇用の長期化に歯止めがかかる
フィリピンで、非正規雇用者を増やしてしまう悪しき慣習が横行し、問題視されています。
フィリピンでは、労働者を非正規で雇用できるのは6ヶ月までとされており、7ヶ月目以降は正規雇用にしなければならないという法律があります。
多くの企業・雇い主が、これを避けるべく、6ヶ月以内で一度退職させ、あとでもう一度雇用し直している現状があります。
これは通称ENDO(End-of-Contract)と呼ばれており、政府は今回これを是正する法案を出しました。
いつまで経っても正規雇用されない労働者たちは、モチベーションはもちろん上がりませんし、効率も生産性も下がります。
このような状態を放置しておくと、ゆくゆくは国全体での経済低迷につながると懸念されています。
日本を見ればわかりますが、非正規雇用者が多数を占めるようになると、経済が円滑に回らないと言われているのです。
また、現在フィリピンでは多くの外国人がビジネスを展開していますが、ENDOの実態を知らない彼らは、フィリピン人を「真面目に働かない」と誤認識している部分もあります。
フィリピンの労働雇用省では、2018年1月中旬までに12万人、2018年中に30万人を正規雇用化する目標を掲げています。
しかし、実際にENDOの状態で働いている労働者はもっと多いと言われており、簡単に状況を変えることはできないとも言われています。
そもそも、中小企業などをすべて含めると、どのようにしてルール違反者を見つけるのかも分かりません。
また、派遣会社を通じて労働させることで、責任を逃れる企業も数多くあります。
形だけで法案は通っても、実態を変えるのはかなり時間がかかりそうです。
また、雇用側では人件費が高くなれば事業が続けられず、逆に経済が悪化するという反発もあります。
こういった賛否両論ある中で、ドゥテルテ大統領率いるフィリピン政府は、2月中にも同法案を発令する方針です。
労働雇用省はすでに、ラグナ州にある日系企業2社に対して、ENDOを改めるように命じています。
日系企業が人件費の安いフィリピン人を、良いように使っているという批判もあり、今後この動きはさらに加速しそうです。